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 私は『スカーレット』の主題曲であるSuperflyの『フレア』がとても好きである。素晴らしい名曲、だと思う。

 

 

 

 これまで観た朝ドラの主題曲でも特に際立っていて、歴代最高の曲ではないかとすら思っている。

 

 朝ドラの作曲を依頼されるミュージシャンは、曲のイメージ付けのためにドラマ脚本の初稿レベルのモノを読ませて貰えるのだという。エピソードとしてつとに有名なのは、2011年の『カーネーション』にてタイトルもそのものズバリの『カーネーション』を書いた椎名林檎。

 

 

 元々は「とにかくアッパーな曲を」という依頼を受け、『人生は思い通り』という曲を制作したが、オープニングの映像を見て脚本を読み進めていくうちに、もう1曲制作されたのが『カーネーション』で最終的に2曲を提出した結果、主題歌は『カーネーション』に決定したのだという(椎名林檎 『カーネーション』 オフィシャルインタビューより )。

 

 Superflyこと越智志帆が、『フレア』作曲にあたりどの様な脚本を読んだのかが、とても気になるところだ。

 

 

 あらゆるドラマに言える事だが、ドラマによりイメージが膨らんだ主題曲というのは、ドラマと無関係な曲に比べて圧倒的に聞き手の中で忘れ難い曲になる。ドラマの質が良ければ良いほど、感動的で印象的であればあるほど、視聴者にとって特別な意味を持つ主題曲は、作品のストーリーと両輪の様な存在といっても良い。

 

 他と比して圧倒的な視聴者層・視聴者数を持つ朝ドラの主題曲が重要なのは、改めてご理解いただけたかと思う。

 

 # もうひとつ、歴代の大河ドラマ主題曲に込められた想いについても語りたいが、これはまた別の記事にて。

 

 
 さてもうひとつの重要な要素として今回は、「タイトル」のお話をしてみたい。朝ドラのタイトルというのは伝統的にヒロインの名に因んだモノが圧倒的に多い。これは『おしん』、『あまちゃん』等の例を出すまでもないかと思う。

 

 次いで多いのは、ヒロインの境遇を表したタイトル。近年だと何故か、第96作(2017年前期)から3作続いた『ひよっこ』、『わろてんか』、『半分、青い』が典型的な例か。同じ例に当てはまる『カーネーション』でも、小原糸子(尾野真千子)の祖母・ハル(正司照枝)が、驚異的な生命力を持つ花であるカーネーションへの想いを語り、さりげなく素晴らしいタイトル回収をしたのは忘れられない。

 
 …さて、そうなると『スカーレット』、この先どの様なタイトル回収が待っているのかが気になるではないか。

 

 「スカーレット」つまり緋色とは陶芸作品において理想の色の一つ、転じて炎、そして川原貴美子(戸田恵梨香)の情熱的な人生…というのがこれまで散々言われて来た意味で、恐らくはSuperflyの『フレア』も、このイメージが曲の基本になっているのはわかる。

 

 

 だがドラマとしては?落ちとしてはあまりにドラマ性に乏しい気がしているのは、私だけなのであろうか。

 

 …実はこの最終回間近な『スカーレット』には、朝ドラ史上でも稀な衝撃的なタイトル回収が待っている可能性がある。

 

 それは、他ならぬ川原武志(伊藤健太郎)の運命についてである。

 

 

 「(中略)このとき私は、息子が入院前に必死で作った大壺を焼こうと思いました。息子が作った最後の壺を、信楽自然釉で残したいと思ったんです。それから弟子の力を借りながら、2週間ほど火を絶やさず、名古屋の病院と信楽の窯を往き来しました。最後の3日間は窯に詰めて、息子の顔を見なかった。

 

 焼き上げた翌日、病院へ抱えて行きました。壺を持つような体力はなかったけれど、息子はうれしそうだった。賢一は目から出血していたので、赤い涙を流して……。私もそのときは涙をこらえられなかったね。

 

 それから1ヵ月ほどした92年の4月、賢一は永眠しました。死の間際、私は背中をさすり続けて、ねんねんころりよ……と歌いました。まだ赤ん坊だったあの子に聞かせていた、なつかしい子守唄です。」

 

  (『婦人公論』2019年11月12日号 神山清子インタビューより抜粋)

 

  急性白血病に起因する、結膜下出血。血小板が少なくなることで発生する症状である。

 

  『スカーレット』というタイトルはまさに、この「血の涙」が由来する可能性が残されているのだ。

 

 勿論『スカーレット』は朝ドラである。ここまでのバッドエンドでしかも、ここまで凄惨なシーンは見たくない方も多かろう。いくら『火火』では妥協無く描かれていたとはいえ、毎朝『スカーレット』で武志の容体を固唾を呑んで見守る伊藤健太郎ファンが、この結末に悲鳴をあげて泣き叫び、果てはショック死する事態を招きかねない。

 

 だが、脚本の水橋文美江氏は既にこう仰っているではないか。

 

 

 「十分に熟考を重ね、できる限りの配慮を胸に、私は覚悟を決めました」、と。

 

 ここから誰もが想像する終焉は…事実に即したモノになると考えるのが妥当なところなのだ。この後の展開に思いを馳せても、最早残った話数とエピソードで、タイトルという伏線の回収は出来ない。

 

 そうなると『スカーレット』のタイトルは着地点を失い、実に締りの無い結末で後味も残り難いのは疑い様も無い。

 

 『スカーレット』という名のタイトル回収…そこにこそ是非、水橋文美江氏の覚悟とやらを見届けさせて貰いたい。

 

 

(つづく)

 

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