朝から昼にかけては、ほぼ意識がない状態。
声をかけても反応は全くない。
最後にママに話しておきたいことがあれば話すように伝え、3人の子供たちは交代で妻の耳元で話をしていた。
夕方より唇のチアノーゼが出始めるとともに、喉から時々「ゴロゴロ」という喘鳴(死前喘鳴)が出だしたため、夜は子供たちには死期が近いことを説明し、交代で注視するようにした。
23時 変わりなし。
24時 長男と交代。変わりなし。
25時 次男と交代。変わりなし。
26時 わたしと交代。変わりなし。
27時 長男と交代。
27時半 長男が「ママが呼吸していない」とあわてて起こしに来る。
急いで病室に行くと、妻は呼吸をしていない。
体はまだ 暖かい。
逝ったばかりだったのか。
28時 ドクターが病室に来て
「御臨終です」と、一言。
覚悟はしていたが、いざ目の当たりにすると、受け入れられない、信じられないという思いが交錯する。
あふれでそうになる涙を必死で堪える。
三男は泣きじゃくり、妻の手を話そうとしない。
そうだよね。君はママと10年しか一緒に居られなかったもんね。最後はたっぷり独り占めして良いよ。
神様。
僕の願いは届かなかったのですね。
そうですよね。
手も足も普通通り動きますから。
神様。
今からでは遅いですか?
手足で足りなければ、僕から好きなだけ奪って下さい。
だから、あと少しだけ時間をくれませんか?