頭で整理して文字に起こさないと読んだ本の内容をすぐ忘れてしまうので、雑な感想書きます。

先日、2日かけて大岡昇平の代表作『野火』を読んでみました。実は2年ほど前に途中まで読んで読了していなかったことを思い出し、今回は最後まで読むことにしました。


 

野火といえば戦争文学として最高作品だといわれることが多いので、読んでいない方は戦争とは何かについて考えるきっかけにもなりますし、是非読んでいただきたいと思います。

 

 読んでみての感想ですが、まず主人公である田村一等兵が生きるか死ぬかの瀬戸際での葛藤や死ぬ理由がないから生きるといった生への執念をもはや持つことができない主人公の戦場でのリアルな描写に読んでいくうちに胸がきゅっと締め上げられるような気持になりました。

 

また、日中戦争以降に亡くなった戦没者数(軍人)230万人に対し、栄養失調や体力消耗、マラリアなどの感染症などによる餓死者の合計は140(https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00005/080700039/)といわれているので、当時多数の出征兵士は相手を殺す云々以前に自分たちでなんとか食いつないで生きることに必死だったことがよくわかりました。

 

治療の甲斐もない負傷兵は上官から自殺を強要されること、食糧がなく山蛭や生草を食べつづけること、残兵が仲間を殺し人肉嗜食に踏み切ること等について当時の僕と同じような年頃の人間が行っていたことを考えると、自分だったらどうしたかをつい考えてしまいますね。

 

少し前にビクトールフランクルの『夜と霧』も読みましたが、その本の中の主人公は絶滅収容所の過酷な状況下でも生きる意味を見出す一方で、野火の主人公は死ぬ理由がないから生きているのだという生への意識の差にこの違いは何なんだろうか、どこから生じるのかなど考えさせられました。途中難解な表現があり読むのに苦労しましたが、とにかく最後まで読んで正解でした。今後はもっと沢山の戦争文学にチャレンジしてみますびっくりマーク