《仮面舞踏会》にお越し下さった皆様ありがとうございました。関係者の皆様も仲良くしてくれてありがとうございました^_^
たくさん頂いた写真の数々
素晴らしいプロダクションでした。稽古も楽しく通えて感謝!
今回の振り返りは普段とちょっと趣向を変えて、僕が演じたレナートという人物についてちょっと想いを書きたいと思います。
オペラを観に来たお客さんから結構『浮気されたくらいで殺人事件が起こるなんて凄い短絡的ですね〜笑笑』なんて話をたくさん頂きました笑僕も『いや〜オペラっすからねー笑』なんて言ってたんですが、それでもやっぱり彼が心酔する領主リッカルドを殺害してしまったのはそれなりの理由がある事を感じております。
まず、恋愛のもつれから殺人事件が起こるのはわりかし今も昔も変わらないのかなと思います。そこは普遍的な部分かなと。でも僕自身もレナートが『絶対に許さない』と誓い、自ら手をかけてしまったのは違和感がありました。同じく暗殺を企てるサムとトムはそれなりの理由があります。先祖代々の領地を奪われたり、兄弟を殺されてしまったり…有能な政治家ととして厳しさも持つ人物であるリッカルドに恨みを持つのは割と合点が行くのです。でもレナートは妻を奪われただけ…もちろん酷い事ですがサムトムと比べるとちょっとね笑とか思ってしまいます^_^;
オペラの中でレナートは常に1人で行動しています。それはもちろん裏でリッカルドを守る為に動いていたのだとは思うのですが、その一方で仲間が居ないどこか浮いた人物だった様に感じます。
そんなレナートの出自をちょっと調べてみたらレナートは『クレオール』だという記述が見つかりした。クレオールとは植民地や副王領生まれの人間を指す言葉で、当時の社会的には差別の対象だった様です。本来であれば貴族達しか政治に参加出来ないはずの世の中で彼は相当の努力をしたでしょうし、立場は同じになっても差別を受け続けていた事が想像出来ます。それだけに才能を評価し、重要な役職を与え、自分の意見をしっかりと聞いてくれるリッカルドに対してレナートは並々ならぬ恩義を感じていたでしょう。『絶対に彼を守らなくてはならない』と。
また、クレオールである自分に対して名家の生まれと推測されるアメーリアを妻として迎えられた事も大きな事である様に感じます。たとえレナートが高い立場を手に入れていても、結婚を受け入れてくれたアメーリアは彼にとっては唯一無二の存在だったのではないか。そういう風に思います。孤独で融通の利かない生真面目な男が唯一信じていた2人の人間が、アメーリアとリッカルドだったのだと思います。
その2人に同時に裏切られ、それを周囲の人間達に嘲られる。彼のアイデンティティを全てひっくり返される経験だったと思います。絶対に守らなければならない人物が『絶対に許せない』人物にひっくり返る。その瞬間を音楽にしたヴェルディは凄いなと思います。その生真面目さで確実に自分の手で親友に手を掛ける為に執念を燃やすレナートは、歌っていても演じていてもとても魅力的な人物でした。改めて舞台に乗せて頂けて良かったと思います。
そんなレナートを来月また歌う機会を作って頂きました。昨年ナブッコでお世話になったテノールの松岡幸太さん、研修所で同期のソプラノ角野圭奈子さん、初めて共演させて頂くメゾの進美沙子さん、トナカイなどでお世話になっているピアノの伊藤友香さんとの共演です。こちらもまた楽しみにしています。今回の経験を生かしてもう一つ深めた表現が出来たら良いなぁ。
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