ハゲとは何か?…が国会で議論された! | 最近の古いモノは!

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「最近の若い者は…」とよく言われますが、
そう言う「古い者」はそんなに立派だったのでしょうか?このブログでは過去の新聞記事等をベースに、「古い者」の昔を検証してみます。
「最近の…」と言われたら、「あなたの時代はもっと悪かった」と言ってやりましょう。





1970年代の事件



簡単に思えること…!


簡単なことと難しいこと
これこそ難題だ!


簡単にわかりそうなのに
意外に難しい!


例えば坂上駅

これは何と読むかわかりますか?

「さかうえ駅」か?「さかがみ駅」か?




答えは「さかかみ駅」だ。

「がみ」ではなく「かみ」なのだ。


これは普通の難読駅より難しい。


難読駅は例えば「太秦(うずまさ)」のように
一度覚えると分かりやすいモノがある。

しかし先の「坂上駅」のように
どっちを呼んでよいかわからないものもあり、

むしろその方が難しい!




それ以外にも例えば一宮(いちのみや)

これはある地域で一番格式が高い神社を指すが、
それ故に日本全国にこの名のついた駅名がある。

例えば尾張一宮駅三河一宮駅飛騨一ノ宮駅
備前一宮駅上総一ノ宮駅土佐一宮駅


これらは普通「○○いちのみや駅」と読むが、

一つだけ違う読み方をする。







それは土佐一宮駅だ!

これだけ「とさいっく駅」と読む。

「いちのみや」と書いて「いっく」と読む。

普通は読めない!


しかし事実そう読むのだ。





更にこのような事例がある。

「柏原駅」


これは何と読むだろうか?

「かしわばら駅」?


間違ってはいない。


それは東海道線の柏原(かしわばら)駅のことだ。


しかし同じ漢字を書いても
柏原(かしわら)駅もあれば、
柏原(かいばら)駅もある。


因みにこの人は(かしわばら)と読む。





つまり簡単そうなものほど
実は難しい。




そういうことが
国会でも話し合われたことがあった。





19583月27日の新聞に以下の記事が載った

ーーーーーーーーーーーーーー
収賄審議にハゲ頭のたとえ
ーーーーーーーーーーーーーー


記事によるとこういうことだ。


あっせん収賄罪に関する刑法改正の審議中
日本社会党佐竹晴記氏が
法務大臣の唐沢俊樹氏に対して

 

毛髪が何本以上あれば、

ハゲ頭といえないか?

という話を持ち出した。


公務員の綱紀粛正を議論している最中に飛び出した
ハゲ論争!


そして佐竹氏自身が立派なハゲ頭だけあって、
会議場の空気は急速にほぐれたという。




うーむ!

確かに難しい問題だ!



頭に何本毛があれば、ハゲでは無いのか?


簡単なようでも難しい。

極めて難解な話だな!

 

 

 



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
議員  大臣に質問します
 

議員  大変大事な話なので
 

議員  よく聞いてください。
 

議員  ハゲとは何本からでしょうか?
 

議員  いやっ、何ですけどね。
 

議員  私が学生自分
 

議員  中村進午先生という方がいて
 

議員  専門は国際法の学者なのですが
 

議員  その授業の最中にこう語りかけたのです
 

議員  「ハゲとは何ぞや?」
 

議員  私はビックリして
 

議員  でも先生から質問されたのだから
 

議員  しかも普通の先生ではなく
 

議員  ドイツ、フランス、イギリスに留学した
 

議員  国際通の先生ですから
 

議員  普通の日本の先生とは違って
 

議員  これが世界基準の質問かと思って
 

議員  何とか答えなければと思い
 

議員  「頭に毛が無いのを言う」と答えた。
 

議員  そうすると先生は更に…
 

議員  「では一本あったらどうだ?」…と
 

議員  そう畳掛けるものですから
 

議員  「それもやはりハゲ頭だ」と答えた。
 

議員  そうすると何本からハゲ頭で
 

議員  何本以上ならハゲ頭じゃないのか?
 

議員  そう言うので
 

議員  「何本とは言えない」と答えたら
 

議員  先生はこう言った。
 

議員  「分かり切ったことでも難しいものだ」
 

議員  そう言って話が終わった。
 

議員  確かに波平はハゲだが、
 

議員  オバQはハゲじゃないのか?
 

議員  そう考えると難しい。
 

議員  そこで大臣に伺います。
 

議員  私はハゲじゃないですよね?
 

大臣  ハゲです!
 

議員  ………………………………!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 




確かに難しい。

ハゲと言えば、大体わかるが
何本からハゲというのかは難しい。


因みに上記の会話は波平以降は創作だが、
それ以前は若干デフォルメしているが
普通に国会議事録(1958年3月26日)に載っている。


なかなかホノボノとしたやりとりだな。






なぜハゲだったのか?

ところでどうしてこういうやりとりに
なったのだろうか?


この審議はあっせん収賄罪に関してだった。


当時の岸信介政権は
三悪追放をスローガンとしていた。

「三悪」とは「汚職、貧乏、暴力」の3つだ。

それ故にあっせん収賄罪により、
綱紀粛正(汚職追放)を図ろうとしていた。


あっせん収賄とは、それまでの汚職が
「職務権限」の有無で罪が決まっていたが、
「職務権限」が無くても有罪にできるようになる。

例えば大蔵省の官僚が、公共事業の口利きをしても
「職務権限が無い」として有罪にならなかった。

官僚(政治家もだが)は、お互いに協力し合い
大蔵省が建設省の管轄を、
建設省は大蔵省の管轄に圧力をかけ
影響を誇示してきた。


しかしあっせん収賄罪ができると
そのようなことはできなくなる。

そのためにこの国会で刑法改正を目指していた。



ところでこの刑法改正案では
日本社会党も対案を出してきた。

政府案との違いは、「地位を利用し」という言葉。

政府案では地位を利用しても
「良いことに使うのはイイじゃん」
という考えがあり、「不正の行為をし」とした。

しかし社会党は良いことも悪いことも含め
「地位を利用し」たのなら処罰する。

そういう法案だった。


大体、官僚などは
「良いことをやってます」としながら
賄賂を要求する専門家だ。

そういう意味では「不正の行為をし」ではなく
「地位を利用し」の方が正しいように思う。


それに対して政府側
は「不正の行為をしなければイイ」

「地位を利用し」とは大変曖昧な言葉だ、とした。




そこで出て来たのがハゲの話

ハゲも曖昧だが、ある程度の客観性がある。
全く髪が無くても、少ししかなくても
ハゲにはハゲの客観性がある。


同様に「不正の行為」を書かなくても
「地位を利用し」でもある程度の客観性がある。



そう主張していたのだ。



なんだ…まじめな話だったんだな。
 

 

 


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政府  佐竹議員の質問にお答えします。
 

政府  佐竹議員は日本社会党の方
 

政府  それ故に政府案と社会党案を比較し
 

政府  社会党案の方が優れていると述べる。
 

政府  確かに一理あるかもしれない。
 

政府  しかし「地位を利用し」という表現
 

政府  これはいただけない
 

政府  社会党案は「地位を利用し」とし、
 

政府  政府案は「不正の行為をし」とし、
 

政府  そこにがあります。
 

政府  社会党案であれば例えば
 

政府  地位を利用し、良いことをやっても
 

政府  せられる!
 

政府  良いことをやって罰せられるのなら
 

政府  それは正義ではない
 

政府  法律は正義の実現のためにある
 

政府  それ故に正義を阻害するような法律は
 

政府  断固排除すべきです。
 

政府  例えば水戸黄門
 

政府  水戸黄門は先の副将軍で
 

政府  めっちゃ偉い奴です。
 

政府  その彼が諸国を漫遊し、
 

政府  そこで悪徳商人や悪代官を懲らしめる。
 

政府  その際に使っているのは印籠
 

政府  でも印籠って、薬入れですから、
 

政府  問題はその印。
 

政府  つまり水戸家の家紋が入っている。
 

政府  つまり水戸黄門は「地位を利用し
 

政府  を懲らしめている
 

政府  「地位を利用し」「悪を懲らしめる」
 

政府  社会党案では水戸黄門は…
 

政府  処罰されることとなる。
 

政府  そんなことが許されるのですか?
 

政府  許されないのなら
 

政府  「地位を利用し」ではなく
 

政府  政府案の通り「不正の行為をし
 

政府  これが適当と思います。
 

政府  では採決しましょう。
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このやりとりは全く存在しなかったが、
まあ対立点を書くとこんな感じだ。

そして結局政府案が通ってしまった。


まあ今でもそうだけど。
結局野党案などは通らないのだ。



その点はとりあえずおいておき、

簡単なことこそ難しい。


ハゲとは髪が無い奴のことをいうが、

少しだけの奴はハゲじゃないのか?


その基準は何か?


そう言われても困る!



因みにこの謎は…

未だに解決されていない!