示談あっせんについて、裁判と比較した場合の、長所と短所を説明します。
【長所】
1 費用が掛からない
交通事故の示談あっせんについては、以下の2組織は、無料で利用できます。
裁判手続きは、印紙代が請求額に応じて支払う必要があります。
2 申立の手続が簡単
申立の手続きが、裁判手続に比べると、簡単であり、個人でも出来ます。とはいえ、ある程度の国語力は、必要です。
他方、裁判の場合、弁護士に依頼しないで、訴状と証拠を作成するのは、法律を勉強したことのない方では、至難の業です。
3 弁護士が担当するので裁判基準に近い金額での解決が期待できる
示談あっせん手続は、交通事故に詳しい弁護士が双方の言分を聞いた上で、示談のあっせんをしてくれますので、損害賠償額について、裁判基準に近い金額での解決が個人でも期待できます。個人で相手保険会社と交渉するよりも有利な条件で交渉できます。
4 比較的短期間での解決が期待できる
示談あっせんは、おおよそ3回から5回の期日で解決します。申立から約半年以内での解決が期待できます。
他方、裁判手続きの場合、事件の内容により異なりますが、おおよそ半年から1年位かかります。
【短所】
1 時効中断の効力がない
交通事故の消滅時効の期間は、原則として、人身事故で事故発生日から5年間、物損事故で3年間です(民法724条、同724条の2)。
訴訟提起では、時効中断効力がありますが、示談あっせんには時効中断の効力はありません。
2 全ての紛争に利用できるわけではない
あっせんは、それぞれの組織で、利用できる場合が決められています。紛争の内容によっては、利用を拒絶される場合があります。詳細は、各組織のホームページで確認ください。
3 指定の場所に出向く必要がある
示談交渉は、書面や電話でのやりとりで出来ますが、示談あっせんは、指定された期日に、開催場所に出席する必要があります。全国各地にあるわけではないので、お住まいの場所によっては、移動時間・費用がかかります。
以上が、示談あっせん手続の長所と短所になります。弁護士費用特約が付いておらず、かつ請求額が100万円にも満たない事故で、相手方保険会社との交渉に行き詰まっている場合には、検討する価値のある制度です。