今年も新米の時期になりました。
最近の異常気象で長雨や日照不足の影響も気になりますが、
新米が出回る時期になると思い出す仕事があります。
昭和56年~63年頃、
お米の精米工場で事務をしていた頃のお話しです
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職場は「○○米穀商協同組合」。
卸売業で、15件ほどのお米屋さんが出資して構成される協同組合です。
物産会社がお米の産地から直接玄米を買い付け、
いくつかの協同組合に卸し、
協同組合で精米したお米を組合員のお米屋さんへ配達する、
という仕組みです。
福岡県産はもちろん、佐賀県、熊本県など九州各地、
宮城県や新潟県、当時としては珍しかったのですが
北海道からも仕入れていました。
特に熊本県阿蘇郡産山村(うぶやまむら)のお米は
とても美味しくて人気がありました。
産山村は湧き水で有名なのですが、
「池山水源」は環境省の名水百選にも選ばれ
毎分の湧水量は30トン、とても澄んだ美味しい水です。
豊かな湧き水と気温の寒暖差が大きいことで、
生産農家の皆さんの自慢のお米が収穫できます。
自然に恵まれ民宿や温泉もあり、とても癒される土地ですので、
機会がありましたらぜひ一度お出かけください(^_^)/
話が逸れてしまいました(^_^;)
新米の時期になると、精米工場では大事な仕事があります。
それは各ランクのお米の配合
当時は各協同組合独自のブレンド米を販売していたのですが、
価格帯が5段階ほどに分かれていました。
お米の産地や等級、価格を考えながら
産地Aを何パーセント、産地Bを何パーセントetc
決定するまでの大変なことといったら・・・
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会社の台所でシャカシャカお米を研ぐ私。
今日は大事な新米の試食会です(`・ω・´)9
一升炊きのガス炊飯器を2台用意して、
産地Aと産地B、違う配合でブレンドされたお米を炊きます。
こっちの炊飯器は5対5、こっちは3対7、
間違えると大変ですからメモを貼って、
時間がきたら点火
組合員のお米屋さんの店主15人ほどが集まって試食するのですが、
時間はお昼時・・・
ご飯だけで済むはずもなくスーパーへ買い出しです
お惣菜、お漬物、もろもろ買って事務所へ戻り、
炊きあがったご飯をセットする頃、続々と店主さんがご到着。
試食会の始まりです。
「こっちが美味しい」 「いや、こっちのほうが美味しい」
ご飯の色、ツヤ、甘み、食感etc・・・
色々と検討しますがなかなか決まりません。
毎回揉めに揉めて、産地や配合を変えては何度も試食会をしていました。
その度に、朝からお米をシャカシャカ
よし!これでいきましょう!と決まり、本格的な精米が始まると
一年がスタートしたような気分になりました(^_^)
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今ではスーパーやコンビニ、
ドラッグストアなどでもお米を買うことができますが、
当時はお米屋さんに配達してもらっていました。
米穀店でお米を販売するには県知事の許可が必要で、
親から子へと受け継がれている店も多く、
馴染みのお客様もいらっしゃいました。
お米や燃料、調味料はいつものお米屋さんに配達してもらう、
そんな昭和の雰囲気が残る時代のお話。
TVで「今年の新米」の話が出る頃になると、
今でも懐かしく思い出すのでした