スティックリンドバーグのコーヒーテーブル
先週から修復作業に入っていたスウェーデンのアーティスト、スティックリンドバーグ作のコーヒーテーブル。
修復前はこうでした。
オークで出来ている木部は薄汚い茶色でした。昨日のブログに書いたように、オーク材は年月が経つとオレンジがかった飴色になります。とても魅力的な色です。その木の表面をサンディングして削ってしまうと、真新しい白い木肌が出てきます。
このコーヒーテーブルも1952年に作られてから半世紀以上が経っているので、汚れを落とせば木肌はあめ色になっているはずです。
なのでサンディング以外のあらゆるクリーニング方法を使って、茶色い塗装と汚れを落としました。5種類の異なった方法で無事に半世紀以上たった木の色にたどり着きました。
イギリスでアンティーク家具の修復を勉強すると、科学の授業を含んだ薬品の事を学びます。これは木の木地を変質させること無く汚れを落とすためと、古い木の色をどうやって再現するか、ということが非常に大事だからです。
クリーニングが終わった後、木を乾燥させてチークオイルを塗りました。
天板に描かれている絵は暗い雰囲気ですが、フレームが明るくなってその雰囲気を和らげています。
オイルが乾いたら蜜蝋で磨き上げて修復完了です。
私は元々汚れを落とす作業が大好きです。テレビで換気扇の油汚れを洗剤で落とすところを実演しているのを見たりすると、無性に自分でもやりたくなります。
なので古い家具の汚れを落とす作業には熱中します。そして汚れの下から木肌が見えてくると一人で盛り上がっています。