えと、すみません、相変わらずの久々更新となっとります。

 

 いえね、言い訳するわけじゃないんですけど、じつは仕事でとんでもないことが起こりましてね。これいつかまたここで詳細はお話したいと思うんですけど、なにしろとても映画を観たいと思う精神状態になかった、ということです。

 

 とんでもないこと自体はとりあえずの収まりは見せましたのでわたしの心も平安を取り戻しつつあるものの、物理的なところではまだなんの解決にもなっとりません。

 

 まあそれでも前向きに生きていかないと、せっかくの残り僅かな人生を棒に振ることにもなりかねませんし、なんとか鼓舞して生きていこうと思ってる次第です。

 

 ということで、まだまだこれからもどうなるかわかりませんけど、気長にお付き合いいただけたら幸いでございます。

 

 ということで。m(_ _)m

 

 

★★★☆☆☆☆☆☆☆

2009年 81min.

ネタバレ オチまでしっかりとしております。

敬称略

 

 

監督 デイヴ・パーカー

製作総指揮 ジョエル・シルバー ほか

製作 ロバート・メイヤー・バーネット

脚本 ジョン・ダンボロウ

音楽 フレデリック・ウィードマン

 

アレクサ:ソフィー・モンク

タイラー:タッド・ヒルゲンブリンク

コンキャノン:ウィリアム・サドラー

セリーナ:ジャネット・モンゴメリー

ラロ:アレックス・ウィンダム

ソニー:イワン・ベイリー

ベル:ジョイ・マクブリン

ベイビーフェイス:ライチョ・ヴァシレフ

ゲイブ:マイケル・ストラウブ

 

 

 とりあえず「ホラー」っていうだけで観始めましたら、なんか製作総指揮がジョエル・シルバーだし、ウィリアム・サドラーが出てるし、ってことで、いきなり期待感は高まりましたね。ジョエル・シルバーってったら、「リーサル・ウェポン」、「ダイ・ハード」、「マトリックス」を製作している方ですからね。それがホラー映画にとなれば、期待しないほうがおかしい、というもんです。

 

 で、始まりますと、オープニングタイトルのところからもうけっこうグロいわけですよ。いいじゃないですか、ということになります。

 

 内容はですね、えと、その昔ウィルソン・ワイラー・コンキャノンて映画監督がいまして、その映画があまりにおぞましかったためにすぐに打ち切り、フィルムもどこへ行ったか無くなってしまい、予告編だけが残っている状態だ、と。その予告編を観たタイラーをはじめとするアホのティーンエイジャーたちがロケ地を訪れて、という感じですね。まあ、おどろおどろしさは出てます。おお、なんかおもろそうやないか、てなりますよね。で、そのコンキャノン監督がウィリアム・サドラーというわけです。でも、なんです。

 

 オープニングでその予告編をみせてたんですけどね、これまんま「13金」なんですよ。まだ始まったばかりですからね、そらこんなところですぐに「ダメだ」のレッテルを貼るわけにもいきませんしね、まあリスペクトなのだろうということで自分をナットクさせますよ。ひょっとしたら本作、パロディなのかもしれませんけど、その不安は無理やり封印することとします。まあ、いろんな意味で期待できる、ということです。

 

↑こういう不要なエロシーンがあるというのも、現代版「13金」ということなのかもしれません。

 

でもですね、そうなってくるとやっぱり雑なところが目立ってきちゃいます。たとえば、

 

↑これが主役の一人、アレクサ(ソフィー・モンク)なんですけど、コンキャノン監督の娘なのですね。

 

 で、かのティーンエイジャーであるタイラーがこのアレクサを見つけ出して、その映画のことを聞き出そうとするわけですよ。でもってその娘というのがヤク中でして、腕をゴムチューブで縛って静脈浮き出させて、水に溶かしたクスリを静脈注射しようとするんですけどね。

 

↑これのどこが静脈注射か、って。

 

 まったくゴムチューブで縛ったイミがないですね。

 

 あ、でもこれ、ここでさっそく豪快にネタバレしますけど、じつは演技なんですね。最後の最後でわかります。実はこのアレクサが一番悪いヤツで、ヤク中も演技なんですけどね、でもそれこの時点では観客はわからないじゃないですか。このシーン見て、なんやこいつ、演技しとんのか、って誰も思わないと思いますよ。演出がアカンのや、って思うはずなんです。それどころか、こんな注射の仕方して、タイラーはおかしいと思えよ、ってことなんですよ。なんかね、どっちに転んでもイタイとしか思えませんね。

 

↑こちらがそのタイラー(タッド・ヒルゲンブリンク)です。う~ん……。

 

 でもってなんかこれでもかとエロいシーンが繰り出されます。ごめんなさい、不要です。エロは嫌いじゃないですけど、ホラー映画のエロはわたし、ほんとに不要だと思いますね。なんもカンケーないじゃないですか。エロ観たかったらそういうDVD借りますって。その昔はこれでもよかったんでしょうけどね、今の時代にこれはほんとに時代錯誤だと思いますよ。

 

 展開はね、速いんです。ていうか、ヤク中アレクサのクスリを抜くのにわずか一分て、それはあまりにもなんじゃないのか、とは思いますね。なんかハショるとこを豪快に間違えてるような気がしてなりません。

 

↑この絵面、まんま「13金」のジェイソンですし。

 

 そうかと思うと、

 

↑「悪魔のいけにえ」も入ってきましたよ。

 

↑ほら、デニス・ホッパーも出てるじゃないですか!

 

 そしたらね、開始30分経たずしてとうとうやっちまいましたよ。

 

↑なんか違和感、とか思ったら、

 

↑髪型が全然違う……。

 

 両方ともタイラーですからね。タイラーはその仲間たちと幻の映画フィルムを探しに、ってドキュメンタリー撮ってて、自らがインタビュー受けてるシーンなわけですよ。服も一緒ですから同じ日に違いないですよ。先の写真(前髪おりてるほう)のシーンからわずか2分後でこれですわ。「あーあ」てなりました。

 

 いろんなね、興味を沸かそうとするシチュエーションがあるのはいいんです。タイラーの友達のラロが、こういうホラー映画ってのは、決して都会から離れるな、っていうんです。都会から離れるから、ケータイも圏外になっちゃうし、車は使えなくなっちゃうし、しかも誰一人銃を持ってない、なんてことになるんだ、って。ああ、なるほど、ですよ。都会だったら、たとえそんな状況になってもなんとでもなるじゃないですか。都会を離れて山奥に来てる自分たちを自嘲気味に言うわけですね。で、目的地についてケータイは圏内だと確認して、実は銃も持っている、というところを見せるわけです。そうすると観ているこっちは、お、じゃあどうやって殺されるんやろ、って若干興味は湧くじゃないですか。まあ、ちょっと考えれば、こんな山奥ですから、今ここでケータイ圏内になってたって、どうせすぐ圏外になるでしょうし、銃だってすぐに強奪されるやろ、ですわ。でもまあそれはそれで、興味っぽいものは出てきますよ。そんでもやっぱり、なんです。やっぱりそこまでがなんともはやな雑な造りだもんですからね、どうせアカンわさ、ってなっちゃうんですよ。

 

↑左はタイラーの彼女であるセリーナ(ジャネット・モンゴメリー)です。

 

 美形ではありますが、やっぱり脱ぎます。いらないです。

 

 で、そうこうしてると、

 

↑ね、「ソウ」まで出てきちゃうんです。

 

 ていうか、要するにここまで30分過ぎ、ホラーっぽいのって、ティーンエイジャーたちが探してる映画の中のシーンだけですからね、長いんですよ。いつもの駄作ホラーの王道を突っ走ってる感ですね。

 

↑こちらがラロ(アレックス・ウィンダム)くんです。

 

 すぐに殺されるやろなって思ってましたが、意外にしぶとかったですね。まあ、長いってだけなんですけど。ちなみに彼は親友の彼女を寝取りました。顔に似合わず、することはヤバいです。

 

 で……、

 

↑なんか捕まっとるし……。

 

 なんやこれ、て思いました。村人たちに捕まったんですけどね、奴らは女の子目当てだったようで。じゃあこいつらがまずベイビーフェイス(殺人鬼)に殺られるんかあ、て思いました。

 

↑やっぱりそうでした。

 

 なんの驚きもないですね。怖くもないし。

 

↑特殊メイクはいいんですよ。

 

 悪いとこばっかでもないんです。ただ致命的なのは、やっぱり演出と脚本が、てことなんでしょうね。で、もうひとつ、なんだかな~、の要因は、

 

↑こやつです。

 

 これね、怖いんでしょうか。なんかこんなマスクなんて、レザーフェイスとジェイソンですっかり免疫できてますしね、「スクリーム」や「ソウ」のがよっぽど見てくれ怖かったですよ。マスクを顔に縫い付けてるってのはシチュエーション的にスゴイですけど、パッと見はよくわかりませんしね。

 

↑で、こうやってどうしても一人になりたがるんですよ。

 

 もうこうなってくると、王道というか、ありふれすぎてますね。

 

↑こうやって家も出てきて、「悪魔のいけにえ」感満載ですし。

 

↑45分すぎてようやくラロくんが殺られましたけど、もういまさらです。

 

 イタいシーンが満載なんですよ。セリーナなんかでも、ケータイが鳴ってしまってベイビーフェイスに場所がわかってしまったもんですから、そのケータイ捨てて逃げたりするんですよ。そんなんゼッタイあかんじゃないですか。マナーモードにすりゃいいだけの話でしょ?なんでそうしないのか、もうアホとしか思えませんよ。

 

↑ここでラロくん以外の3人が合流して、ベイビーフェイスに襲われますよ。

 

 確かにこのシーンでそれまでと様相はかわりますけど、おっ、とはならないですね。普通に観てます。

 

↑こんな大男の顔に合う人形ってどんな巨大な人形やねん、とそんなことを考えてました。

 

↑で、コンキャノン監督出てきましたよ。

 

 そら出てくるやろ、ですね。

 

↑ラロもなんか生きてたし。

 

 なんで生きてんねん。

 

 えと、ここで1時間弱です。話が明らかになりました。要するに、コンキャノン監督のウィリアム・サドラーと娘のアレクサが組んで、その昔の映画をまだずっと撮り続けていた、ということだそうです。アレクサの演技に3人がだまされて、わざわざ殺されに来た、ということです。

 

 いえね、そうなるとこれ、なかなかのどんでん返しで面白い話だと思いますよ。コンキャノン監督が生きていたっていうのは薄々、いや確実に、わかってましたけど、アレクサもグルだったというのはちょっと考えつかなかったかもです。でもね、ならどうしてもうちょっとうまく話が書けなかったかと、ザンネンでならないわけですね。これ、ちゃんとした脚本家なりプロデューサーなりだったら、めちゃめちゃ面白かったんじゃないかと思いますよ。ていうか、製作総指揮にジョエル・シルバーじゃないですか。なにしとったんや、て話でしょうよ。ホラー映画は勝手が違うんでしょうかね。とにかくもったいない話です。

 

 ていうかですね、これ、ウィリアム・サドラー、12歳の実の娘を犯して子供を産ませて、それがじつはベイビーフェイスって、話的には奇抜ですけど、倫理的にどうなんや、てことと、ウィリアム・サドラーのその後の人生が心配でならなくなってしまいました。大丈夫なのでしょうか。2009年の作品ですから、かれこれもう14年が経ってますね。最近彼の名前を聞きませんが、どうなんでしょうかね。実の娘を犯した理由が、妻が死んで寂しかったんだ、ですからね。目も当てられませんね。

 

↑ラロ殺られる。

 

 けっきょくラロは殺られました。わたし爆笑しましたよ。

 

 最後のほうはもうほぼ「ソウ」ですね。なんかデジャヴュ感がハンパなかったです。でも根本的に違うのは、なんかもうわやくちゃになっとる、ということですね。

 

↑ラロ、撃たれて

 

↑アレクサも撃たれて、

 

↑お父さん(ウィリアム・サドラー)は殺されて、

 

↑ベイビーフェイス刺されて、

 

↑でもアレクサは生きとった、と。

 

↑で、直後のアレクサがこれ……。

 

 いやもうなんかフツーやん、て。撃たれたんちゃうん、てなりますよ。めっちゃキレイやし。シャワーあびたんか、て。

 

↑で、最後はタイラーが壊れておしまい、とな。

 

 わたし、タイラーと一緒に笑ってましたわ。

 

 怖くはありません。まったく怖くないです。グロい、ってだけですかね。もう最初っから最後まで見たことあるシーンばっかりで、そればっかりが気になって、おもしろいとこはひとつもなかったですね。エロもいらんし。

 

 もっとがんばればおもしろくなるだろうのに、ということと、特殊メイクはよかったので、★3つです。もうちょっとがんばりましょう、ですね。

 

 

今日の一言

「え、ラストこれ誰の子なん!?」

 

 

レビュー さくいん