以前のブログでも触れましたが、私はラジオをかなり聞いています。今回は、NHKカルチャーラジオ『科学と人間』で、谷本道哉氏が語っている『裏切らない筋肉とはー筋トレの科学』について考えてみました。話は健康な人(衰えつつある高齢者を含む)向けです。しかし、脳梗塞を経験した私にもかなり参考になり、自分のリハビリをやるときに、ある程度参考にしています。ご存知の方もあるかもしれませんが、谷本道哉氏は、長年筋肉を研究していて、テレビなどにも結構出ているムキムキの人です。

 

 『脳梗塞で左右差がとても大きくなっている人でも、筋肉の話が参考になるのか?』、あるいは『フレイルになりつつある高齢者でも筋肉の話が参考になるのか?』というような疑問が頭に浮かびます。しかし、とりあえず参考になるところを取り込めば良いという立場で私は聞き始めました。まだ、毎週一回の連続講義の中盤なので、全貌は分かりませんが、心に残ったことがいくつかあります。

 

  1. 90歳くらいの高齢者についても、筋肉は適切に鍛えれば必ず応えてくれるようです。ラジオなので、映像はありませんが、現場では聴衆に対して実例を示しながらの講演になっていて、分かりやすい話になっています。そして、身体の色々の不調さえなければ、今や110歳時代が来ていると言います。そして、後期高齢者に差し掛かっている私自分を振り返ってみると、やはりこれから足腰の筋肉をどう鍛えるかが大いに問題だと思います。
  2. 高齢者になった時に、急速に落ちていく筋肉は速筋で、脳梗塞でも速筋はあっという間に痩せてしまいます。できるだけこの速筋を鍛えていくことが効果的です。そのためには、特に器具を使わなくても大丈夫で、スクワットとか、椅子に座ってやる運動などでも十分鍛えることが可能だと言います。そして、速筋の運動をすると、すぐに乳酸ができるのですが、それは脳に取り込まれて、脳でのエネルギー源になるそうです。運動して頭がスッキリするのは、乳酸のせいだと述べていました。
  3. 10回くらいでできなくなる程度の強い筋肉運動はやれば、速筋には効いてくるようです。私はブログでも、リハビリをやるときは必死にやると書いてきましたが、この強い筋肉運動と通じているように思います。そして、必死にやると、次第に筋肉はついてきます。私の場合脳梗塞後5年になりますが、麻痺側の太ももは健康側のそれに遜色ない状態になっています。
  4. 脳梗塞半身不随になると、極端な左右差が生まれてしまいます。しかし、もともと左右差は健康な人でも当たり前だと言います。例えば、100メートルの世界記録を持っているウサイン・ボルトの場合、右と左の歩幅は30cmも差があるらしい。左右差を前提として、得意な方を伸ばし、不得意の方もそれに合わせて伸ばしていけば良いというコメントは脳梗塞の患者にも通じるように思います。

 

 まだ、このラジオ番組は2月まで続きます。NHKの『らじるらじる』(聞き逃し配信)で当分聞けるようです。私は楽しみにしています。

 

 次回は、「 閑人閑話 その99(失語症が回復した後に見た脳の機能のfMRI画像)」です。