注目の参院選は、民主党が改選を10議席下回る大敗を喫し、改選3の全てを失った国民新党と合わせても過半数を割り込むという、事前の予想通りの展開になりました。菅さんの消費税発言の真意が必ずしも正確に理解されなかったことを言い訳にする声が専らですが、むしろ党内で賛否割れて互いに足を引っ張り合ったところに、有権者は、政権与党としての相変わらずの自覚の乏しさを見たのではないでしょうか。結果として、所謂ねじれ国会の再現で、かつての自公政権と異なり、参院で否決された法案を衆院で再可決するための3分の2以上の議席を持たない「真性ねじれ」であるという意味で、安倍・福田・麻生の歴代政権よりも厳しい国会運営を迫られそうです。
 そんな中、際立ったのが、みんなの党の躍進で、比例区の得票率は13.6%と、公明党を僅かに上回って堂々の第三党の位置を占め、東京選挙区では共産党現職に競り勝つなど、議席数にして実に10増(1→11)となりました。民主党が落とした得票率8%ポイントと、自民党の4%ポイントを、みんなの党がかっさらった計算になり、さすがに民主党には飽き足らず、かと言って依然あからさまに自民党を支持したくない無党派の保守層の受け皿になったものと見られます。
 対照的に、国民新党は前回2.2%→1.7%(議席総数3→0)と、弱小政党でありながら連立政権のキャスティング・ボートを握るかのような傍若無人な振る舞い、とりわけ郵政民営化を逆行させる元凶であることに、選挙民から明確な拒絶を突き付けられたと見られます。社民党も4.5%→3.8%(3→2)と、普天間基地移設問題で筋を通したことよりも、非現実的な主張を続けることに嫌気した無党派層がみんなの党に流れたのか、退潮著しい。更に新党改革や日本創新党は、第三極の中で独自性を発揮できず、新党改革は議席数を落とし(5→1)、日本創新党は議席獲得に至りませんでした。
 唯一、意外であり残念だったのは、事ここに至ってなお投票率が57.92%にとどまり、前回を0.7%ポイント下回ったことでした。詳細は分かりませんが、失われた20年と軌を一にするように、40代、30代、20代と若くなるほど投票率が落ち続ける、これら若者たちを振り向かせることが出来なかったと見られます。この点に関しては、与党・民主党だけでなく、この程度で勝利したと安堵する自民党、更に伸張著しいみんなの党にも責任の一端があり、反省してもらいたいと思います。勿論、残りの責任の一端は、国民の側にあるわけですが。