0696 なぜ、「昼と夜の温度差が大きい地方では、良い作物が採れる」のか?




1.「光合成」って何なの?


①葉から二酸化炭素(CO2)を吸収し。
②根から水(H2O)を吸収し。
③光のエネルギーによって、それらから炭水化物(C6 H12 O6)を合成すること。
④合成で余った酸素(O2)を放出。
つまり「光合成」とは、「光エネルギーによる炭水化物合成活動」のこと。
言ってみれば、植物にとって光とは、「食べ物」のようなものなのだ。


2.「植物は二酸化炭素を吸収する」のは知ってるけど、酸素は必要ないの?


植物にも酸素は必要。
植物も呼吸している。
二酸化炭素を吸収するのは「光合成活動」であって、呼吸活動には酸素を必要とする。
①光合成で得た炭水化物をブドウ糖や果糖に分解。
②それらの糖をエネルギーとして、酸素を吸って二酸化炭素を出すという「呼吸」を行う。


3.種が発芽するのに必要な条件ってあるの?


ある。
「水分」「空気(酸素)」「温度」
この3つが「発芽の3条件」とされている。
ただし、必要な水分量は種類によって大きく異なる。
例えば「イネ」のように水中で発芽するものもある。
しかし全般的には、「水分が多いと酸素が少なくなる」ため、発芽はしにくくなる。
「水はけの悪い畑は作物に良くない」と言われるのは、水はけが悪い(水分が多すぎる)と土中の酸素が少なくなるからだ。


4.発芽と光には関係があるの?


多くの植物では関係がない。
しかし、明らかに関係があるものもある。
光を当てたほうが明らかに発芽が良くなるものは「シソ」「ミツバ」「ニンジン」など。
逆に、光が無いほうが良く発芽するものに「ダイコン」「ナス」「トマト」などがある。
光を当てたほうが明らかに発芽が良くなるものは、種をまいた後、覆土(種にかぶせる土)を浅くする。
逆に、光が無いほうが良く発芽するものは、覆土を多めにする。


5.発芽直後は何を栄養源にしているの?


発芽直後の栄養源は、主に2タイプある。
「胚乳」タイプと「子葉」タイプ。
胚乳タイプは、種から芽を出し、種を置き去りにして伸びるもの。
子葉タイプは、茎が種を持ち上げ、その種から葉が出てくるもの。

例えて言えば。
胚乳タイプは「お母さん、行ってきまーす!お母さん、ついて来なくていいよ。僕一人でできるから」と言う、おませなやんちゃっ子。
子葉タイプは「お母さん、ついて来てねー!私、ちゃーんと葉っぱが出せるか、ちょっと不安なんだ」と言う、堅実でやや心配性の子。

胚乳タイプは、「ひとりでできるもん」。
「イネ」「トマト」「ナス」「トウモロコシ」など。
子葉タイプは、「お母さんといっしょ」。
「インゲンマメ」「エダマメ」「ダイコン」「キュウリ」など。


6.「萌芽(ほうが)」と「出芽(しゅつが)」ってどう違うの?


「萌芽(ほうが)」とは、種イモや球根から芽が出たことを言う。
「出芽(しゅつが)」は、地表に子葉が出てきたことを言う。


7.「蒸散作用」って何なの?


蒸散とは、植物が葉裏の気孔から水蒸気を出すこと。
根から吸い上げた水分は茎を通り葉に送られ、葉裏から蒸散される。
これによって植物は、体温調整をしている。
また、根からの吸水力を高める役割もある。
つまり「葉」とは、「吸水ポンプ」でもあると言えるのだ。


8.どうして多くの植物が、冬になると葉を落とすの?


「葉」とは、「吸水ポンプ」でもある。
これを知れば、植物が冬に葉を落とす理由も理解できる。
冬場、0℃近くにもなる水分。
これを葉によってどんどん汲み上げていれば、「体温が下がりすぎて凍死してしまう」のだ。
それで植物は冬になると、いやなる前から、吸水ポンプである葉を分離し、吸水による凍死を防ぐのだ。
冬前に多くの植物が葉を落とすのは、気温が下がって弱ったからでも何でもなく、生命維持活動の一環だったのだ。


9.「花が咲く」「実がなる」ことに条件はあるの?


ある。
花が咲いたり実がなったりすることを「花芽分化」と言う。
その花芽分化を起こすためのスイッチは主に「気温」と「日長(昼の長さ)」とされている。

・発芽後、一定期間低温にさらされると花芽分化のスイッチが入るもの。
「カブ」「ダイコン」「コマツナ」など。

・大きく成育した後で、一定期間低温にさらされると花芽分化のスイッチが入るもの。
「イチゴ」「キュウリ」「カボチャ(雌花)」など。

・大きく成育した後で、一定期間高温にさらされると花芽分化のスイッチが入るもの。
「レタス」など。

・短日(昼が短くなる)ことで花芽分化のスイッチが入るもの。
「イチゴ」「サツマイモ」「イネ」「カボチャ」「シソ」「キュウリ(雌花)」「秋大豆」など。

・長日(昼が長くなる)ことで花芽分化のスイッチが入るもの。
「ホウレンソウ」「レタス」「ジャガイモ」など。

・中性(日長に関係ないもの)に「エダマメ(夏大豆)」「ナス」「ピーマン」「トマト」などがある。


10.植物にも性別はあるの?


ある。
多くは両性であり、単株でも結果する。
「イチゴ」「エダマメ」「コマツナ」「サツマイモ」「シソ」「ダイコン」「トマト」「ナス」「ピーマン」「イネ」。
だが、雄株と雌株に分かれており、両方植えないと結果しないものもある。
「カボチャ」「キュウリ」「ホウレンソウ」など。


11.植物の成育に影響するのは気温だけ?


気温は成育全体に影響する。
しかし、実は「地温(土中温度)」も重要。
地温は発芽や根の伸張に大きく関わっている。


12.なぜ、「昼と夜の温度差が大きい地方では、良い作物が採れる」の?


昼と夜の温度差(寒暖差)が大きい地方では、果実にしろ穀物にしろ、美味しいものが採れる。
その理由は、光合成と呼吸の関係に由来している。

昼間、光合成によって炭水化物が作られる。
夜になると光合成はできない。
その夜でも、植物は炭水化物を分化して糖を作り、それを使って呼吸活動をしている。
夜に気温がぐっと下がると、呼吸活動が抑えられる。
つまり、炭水化物の消耗が抑えられるのだ。
すると、作物体内の炭水化物蓄積量が温存される。
要するに、「夜が寒いと、炭水化物の損失が少なくなるため、作物全体の成育および果実に回る栄養が損なわれない」ということだ。
昼間、どんなに好天でたくさん光合成をしたとしても、夜が暑ければ、そのほとんどを消耗してしまうのだ。


13.なぜ、雨が多い年は作物が良く実らないの?


雨(降水)には、さまざまなメリットがある。
ひとつは「水分補給」。
また、肥料を溶解し吸収しやすくするという役割もある。
他にも、土中に溜まっている不要なものを流しだすという働きもある。
しかし、降水が多いとデメリットも多くなる。
ひとつは「日照不足」。
そして「土中の酸素不足」となる。
また、病気や害虫の発生が多くなる。


14.農作物に適した土は?


農作物を育てる上での土壌は「物理性(構造)」「化学性(成分とPH)」「生物性(土壌微生物)」の観点から考える必要がある。
しかし、何よりも重要なのが「物理性(構造)」観点における「団粒構造」の土だ。
団粒構造がなぜいいのか?
それは作物の生育に最適な構成(固相40%液相30%気相30%)となるからだ。
それは「通気性」「保水性」「排水性」「保肥性」に優れるということ。
農作物を育てるならば、「団粒構造の土」に改良していくことが望ましい。


15.土を改良するなんてできるの?


できる。
土というものは、動植物および無機質が数千年にわたって大気および水分の影響を受けながら、堆積したもの。
一般の人にとって土とは「すでにそこにあるもの」である。
しかし、農業をやるという人にとっては、土を改良する必要がある。
「土は、すでにそこにあるもの」という考え方から「土は自分で育てるもの」という考え方に切り替える必要があるのだ。
というのも、作物によって必要な要素は物理的および化学的に異なっており。
その作物に好ましい状態にしてやらねば、思うような収穫に至らないからだ。


16.土の化学性とは?


土の化学性とは。
「PH(ペーハー)」「栄養分」「水分」の含有量のこと。
PH7以上はアルカリ性。
PH7以下は酸性。
日本の土壌は基本的にPH5~6の弱酸性~酸性。
また、雨が酸性である(酸性雨)のため、雨が降るたびに酸性が保たれてしまう。
植物には、その成育に適したPHがある。
強酸性を好むもの「ブルーベリー」や「クランベリー」などならば土壌改良の必要はない。
しかし、家庭野菜などの多くは弱酸性~中性を好むものであり、従って土壌を「ややアルカリに傾くように改良する」必要がある。
特にホウレンソウやブドウなどは、弱酸性よりもアルカリ向き。


17.なぜ、土の改良に「腐葉土」や「堆肥」がいいのか?


土に腐葉土や堆肥などの有機物を入れる。
有機物は土中の微生物や小動物(ミミズなど)の栄養源となる。
それで、土中の微生物や小動物の数が増え、活動が活発になる。
それらの活動が活発になると?
土中の死骸・排泄物および枯葉などの分解が促進される。
それらの分解物は、植物の根の栄養源となる。
また、分解が活発になると腐植(土壌有機物:黒色の高分子化合物)が増え、土が団粒構造を形成する。
つまり、「腐葉土」や「堆肥」が「植物の成育にとって理想的な土壌に、物理的および化学的に改良してくれる」ということだ。
「腐葉土」や「堆肥」は肥料ではなく、「土壌改良材」なのだ。


18.畑に灰をまくのは良いことなの?


灰は無機質(生物が摂取する栄養はない)であるが、アルカリ性。
アルカリ性なので、土壌のPH改良になる。
土壌のPHが作物に適したものになれば、作物は良く育つ。
日本昔話の「花さかじいさん」の話は、化学的に筋が通っていたのだ。
昔の人間は、本当にすごい。


19.化学肥料は良くないの?


良くないとは言えない。
化学肥料とは、人為的に化学成分を結晶させたもの。
効き方も「速効性(すぐ効く)」ものと「緩効性(じわじわと長く効く)」ものがある。
また「液肥(液体のもの)」などもあり、使い方によっては、大きな効果が得られる。

しかし、化学肥料そのものが酸性であり、これを使い続ければ土のバランスが崩れてしまうとも言われている。
化学肥料は言わば、人間における「薬剤」のようなもの。
すぐに効果が出るが、量や期間を逸脱すれば、大きな副作用が出る恐れがあるのだ。


20.「化成肥料」とは?


化成肥料とは、「成分が2つ以上入っている化学肥料」のこと。
有機化成肥料とは、「成分が2つ以上入っている化学肥料に、有機物肥料を混ぜたもの」。
有機物肥料とは、「蓄糞」「魚粉」「植物の腐植物」など、要は微生物の食べ物になるもののこと。


21.収穫適期とは?


その作物を収穫するのに最も適した時期のこと。
その作物が「最も美味しく食べられる時期」と必ずしも同一期ではないのがポイント。
その典型的な例が「カボチャ」と「サツマイモ」。
これらは、収穫後、一定期間保存しておくと、デンプンが糖化するため、収穫時よりもずいぶん美味しくなる。


0696 なぜ、「昼と夜の温度差が大きい地方では、良い作物が採れる」のか?(完)