告別式。 | 届かない手紙

届かない手紙

自死遺族〜
最愛の夫を失った妻の記録。
二度と戻らない日々…
行き場の無い気持ち…
もう二度と届くことのない夫への想いを綴る。

 

 

ほとんど眠れないまま朝を迎えた。

 

前日、名簿の確認をしていた際に気かかることがあった。

どうしてもその方の連絡先が知りたかった。

 

告別式はほぼ親族しかいないと思っていたが思いのほかたくさんの方が参列してくれていた。

 

人を探していたため喪主にも関わらずその場を離れていたのでどなたが参列していたのか把握が出来なかった。

 

探していた方にお会いすることができ、少しお話しすることが出来た。

お話を聞き、告別式だというのに心ここにあらずの状態になってしまった。

 

色んな事が頭の中で駆け巡った…。

 

私の知らない夫。

 

どうして…?

 

いつから…?

 

聞いた話が頭から離れない。

 

ぼんやりしたり、涙を流したり…

 

告別式の最中の記憶がない。

 

ここから先は断片的な私の記憶と後から聞いた話を繋ぎ合わせて書いていきます。

 

 

棺に花を入れ…

 

夫の頬に触れ…

 

「ごめんね」

 

「何にも出来なくてごめんね」

 

そう言って泣き崩れた。

 

スタッフの方が「そろそろ…」と棺を閉めようとするので

 

「やだ」

 

「閉めないで」

 

「行かないで」

 

「置いて逝かないで」

 

そう言って夫から離れようとしなかった

 

誰が何処に居てどんな様子だったかも覚えてない

 

たぶん夫しか見えていなかった

 

人目も憚らず泣きじゃくり

 

スタッフの方を困らせ

 

親族も誰も私に近づける状態ではなかった

 

母が私を抱きしめ

 

「sayu、sayu、〇〇さんが困ってるよ」

 

何故かその言葉だけがハッキリと記憶に残っている

 

そうだ、パパは人に迷惑をかけることは嫌がる人だ

スタッフの方が困っている

このままではいけない

 

そう思って夫から離れた。

もうまともに立っていられない。

 

どうやって立てばいいのかもわからない

 

喪主の挨拶…

 

お義父さんが「代わろうか」そう言ってくれた

 

「やだ、やる」

 

そう言って泣きじゃくった。

 

たぶん全員が「無理なんじゃないか」そう思ったと思う。

 

自分でもみっともなくてやめた方がいいかとも思った。

 

それでも、私に出来る事はこれしかなかったし

 

せめて自分の役目はちゃんと果たさなければならない

 

そう思って…

 

用意していたメモを出す。

 

涙で前が見えない

 

まともに読み上げられない

 

泣きじゃくりながらみっともなく挨拶をする

 

それでも最後まで挨拶し、頭を下げることが出来た。

 

 

子供といっしょに夫を乗せた車で火葬場へと向かった。

 

本当に、本当に、これで最後になる。

 

もう二度と夫の姿を見ることも触れる事も出来ない。

 

お別れなんてしたくないのに

 

どうして一緒に居られないの

 

どうしておいていっちゃうの