現代のわらしべ長者 | ミスプロの海外競馬

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ちょいとおもろい話です。

 

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AP
たった1つのペーパークリップからスタートして物々交換を続け、家1軒を手に入れる――。 現代版「わらしべ長者」を目指していたカナダの青年が、ちょうど1年でゴールにたどり着いた。カナダ中西部の小さな町で、ついに一戸建ての持ち主となる。

 

カイル・マクドナルドさん(27)はモントリオールのアパートに住み、アルバイトを転々としていた。 ある時「家を持って一人前になりたい」と思い立ち、インターネットの物々交換サイトに注目。 昨年7月、サイトに赤いクリップ1個を出品して以来、「もう少しだけ大きな物」を求めて交換を重ねてきた。
交換の申し出を受ければどこへでも出向き、カナダと米国の各地をめぐりながら、クリップを「魚の形をしたペン」に、それを「陶器のドアノブ」に、それをまた「キャンプ用コンロ」に――と次々に取り換え、今年4月にはアリゾナ州フェニックスの家に「1年間無料で住む」権利を手に入れた。

 

マクドナルドさんの挑戦はこのころまでにすっかり有名になり、米国やカナダ、日本のテレビで取り上げられた。 地方ラジオにも十数回出演したマクドナルドさんは、ロサンゼルスでたまたま番組を耳にした俳優のコービン・バーンセンさんと運命的な出会いを果たす。

 

映画「メジャーリーグ」への出演で知られるバーンセンさんは、マクドナルドさんにこう持ちかけた。 「私は今、新作映画の脚本と演出を手がけている。 作品中のせりふ付きの役を提供しよう」――マクドナルドさんは大いに興奮したが、ここではたと考えた。 
「バーンセンさんがフェニックスの貸家などいらないことは確かだ。 相手が使える物と交換しなければ、本来の趣旨から外れてしまう」そこでマクドナルドさんは、バーンセンさんの申し出をいったん棚上げして、そのまま物々交換を続けることに。 貸家に住む権利と引き換えに「ロック界のスーパースター、アリス・クーパーさんと午後のひとときを過ごす権利」を入手し、それをさらにロックバンド、キッスをデザインした置物と交換した。

 

これは、透明の球に水やラメを入れた「スノーグローブ」と呼ばれる置物。 実は、バーンセンさんはスノーグローブ集めが趣味で、自宅には6500個も並ぶほどだという。 
マクドナルドさんはキッスのスノーグローブをバーンセンに渡して、約束通り映画の役を入手。 同時に、自分のホームページ上で「皆さんもバーンセンさんにスノーグローブを贈って、サイン入り写真をもらおう」と呼び掛けた。

 

これを聞きつけたのが、カナダ・サスカチワン州にある人口1000人余りの町、キプリングの人々。 高齢化に悩む町を活性化するために、マクドナルドさんを住民として迎えたいという話がまとまった。
町の当局は早速、メインストリート沿いに立つ100平方メートルの一戸建てを買い取った。 マクドナルドさんとの話は先週まとまり、12日には家が正式に引き渡される。 
マクドナルドさんは恋人と2人で、9月からここに暮らす予定。 「ずっと住むかどうかは分からないけど、少し腰を落ち着けて、念願の作家を目指してみたい」という。

 

一方キプリングの当局は、町内を走る幹線道路沿いに大きな赤いクリップを飾り、家と交換した映画の役のためにオーディションを開催する計画を進めている。 バーンセンさんも「オーディションでぴったりの人物が見つかったら、主役をやってもらってもいい」と乗り気の構え。 「(マクドナルドさんの)魔法の力で、大物スターが誕生するかもしれない」と、期待を寄せている。
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