令和3年(2021年)1月5日 第381回

我がマンションの年末迄の除雪車は1回だけだった。 帯広市は積雪ゼロだと言うし、岩見沢や旭川方面だけが大雪でアトは平均して少ない状態だと思う。 コロナに代わるご褒美としてこのまま続いて欲しいモンだ。

 

TBSの年末特番・サスケで5年振りの完全制覇を果たしたのが、5年前にも完全制覇した森本君・29才の自身2回目の快挙だった。 100人の参加者中、制覇能力の最も高いゼッケン100番を初めて着けて、かっての、サスケの異名を持つ最強漁師の長野氏でさえ為し得なかった偉業である。 5年を経ても、なお、あの難関な競技を制覇する肉体能力が向上していたのは脅威であり、賞賛の値充分である。 今は、IDECと言う会社(資本金100億円、売上580億円、従業員3,600名)に勤務する、文武両道の格好良すぎる青年である。 このサスケ君が監修したIDECの厚生施設(トレーニング施設アリ)が、本社隣のビルに7億円で完成させたと言うから、この会社も立派なモンだ。 それにしても横浜市青葉区緑山にあれだけの競技施設を維持している、技術ある会社は何処なのか? TBSはどの位の費用を掛けているのか? いつか、知りたいモノである。  

 

 

小杉健治「九代目長兵衛口入り家業」(文庫本、2019年書き下ろし)

寺の山門前で騒ぎが起こっていた。 三人連れの遊び人に追い付いた鳶の袢纏を着た男が、一人の男の腕を捻じり上げた。 処が頬骨が突き出て眼窩が落ち窪み不気味な気配の男が、→放せ!と、腹に響く様な声で詰め寄ると、鳶の男は殺気迫る異様な雰囲気に呑まれて思わず手を離した。 向こうから10人近い鳶の者が走って来る。 それでも不気味な男は動じる気配もなく、残る二人も匕首を呑んでいるから争う気満々である。 この騒ぎを山門で見ていた二人の男、背が高く若い方が幡随院長兵衛(26才)、中肉中背の年嵩が吉五郎(40才)である。 →あの連中、匕首を呑んでやがる。 →若旦那、止めますかえ?  →仕方ねえ、おい、待ちなせえ! 長兵衛は体も大きく、胸板もある、押し出しが良いので若いのに貫禄があった。 →町の衆がたくさんいらっしゃる、大勢で喧嘩になると巻き添えを喰う  →うるせえ、この野郎、テメエからだ、と殴りかかったが、瞬間、その大男は地べたに転がされていた。 鳶の男が慌てて、匕首を出した男に、 →やめろ、この人は幡随院長兵衛だ、と告げると、男は顔色が変わった。 幡随院長兵衛の名前は世間に轟いていた。 鳶の連中は、 →あっしらは手を引きます。 →俺達も売られた喧嘩を買っただけだ、と両方が帰って行った。

 

「幡随院」は大名・旗本に中間を斡旋する口入屋、九代目長兵衛は初代と同じ25才で、父・八代目から跡目を引き継いで一年になる。 土木人足の請負もしている事から、花川戸の家には大勢の人足が寄宿している。 →吉五郎、さっき、長身の暗い感じの男がいたな、頬骨が突き出て眼窩が落ち窪んだ不気味な野郎よ、あの死人のような目が気になる、調べてくれ。 →判りました、弥八に探らせます。 弥八は手代の身分であるが元は軽業師の盗っ人だった。 →おまえさん、お帰り、同心・河下様がお待ちですよ。 妻女のお蝶は三年前に所帯を持った二つ上の姉さん女房である。 まだ、引退しねェ、と言っていた親父に引導を渡したのがお蝶だった。 河下又十郎がさっそく、→旗本・水野忠親様へのお屋敷には奉公人を派遣していないようだな。  →残念ながら、去年、突然、先方から言い渡されまして、良い条件で奉公人を確保する所が見つかった、と。 →闇不動の万次郎を知っておるか、以前は火盗改めの密偵をしていたが、三年前に万次郎と言う口入屋を始めた、水野家は万次郎に鞍替えしたのよ、万次郎は水野家の中間部屋を賭場として借りておる、胴元が万次郎よ、水野家を含めて判っているだけで五家もある、勿論、テラ銭から賄賂を払っているから賭場を貸している五家は実入りがイイ、水野家が幡随院から万次郎に替えた理由だ、万次郎はやり過ぎだ、五家以上もの旗本の中間部屋で賭場を開き放題と言うのは目に余る、荒稼ぎでのさばらせて置くわけにはいかない。 おまけに水野家の殿さまが吉原の花魁に夢中になっていて、その金がこのテラ賎で賄われている。 実はご老中からお奉行に問いかけがあったのだ、 武家屋敷の賭場の取り締まりはどうなっているのか、と。 こちら側としては誰かを掴まえなければならない、その標的が万次郎よ、長兵衛、先ずは水野忠親様を改心させてくれ、万次郎が捕まれば水野様にも害が及ぶ、もし、水野様が花魁に固執するなら、お目付けに訴える、恐らく、甲府勤番に廻される。  甲府勤番とは旗本や御家人が不始末を仕出かした者が罰として命じられる山国・甲府城の守備であり、誰もが嫌がっている厳罰だった。 

 

長兵衛は水野様の若党・秋野小平太様(35才、忠親様の3つ上)に面会を申し入れた。 奉行所が万次郎に目を付けている、中間部屋の賭場貸し、そのテラ銭で忠親様の花魁通い等々を申し上げると、秋野様は、→今の殿は、花魁・小夢(24才)しか目に入らない、拙者の言う事など、聞く耳持たぬ。 奥方も最早、養子の殿には関心がない。 しかし、長兵衛、心配するな、万次郎は捕まらないし、口も割らない。  秋野様の断言が気になったが、今日はこれでお暇しよう。 ・・・帰途、昨日の鳶・益三から声が掛かった、→昨日は助かりました、あの不気味な野郎にはぞッとしました、長兵衛さんが投げ捨てた野郎が壺振りの銀蔵で、万次郎の賭場でイカサマをしたんで糾弾していたんです。 →もし何かされて、その仕返しに鳶の大勢の仲間では大乱闘になってしまう、何かされたら先に俺に言いに来い。 花川戸に帰ると、24~5才位の旅装の男が待っていた。 上州の勝五郎、と名乗ったが、その肝の座り方から、上州にはいられなくなった何かの理由があろう、偽名かも知れん、とお蝶に告げた。 どんな者でも来るもの拒わず、が長兵衛の考えである。 厄介になっている間は幡随院の袢纏を着ろ、という約定さえ守ればイイ。 吉五郎が弥八を伴って報告に来た。 →あの男は喜平治と言います、万次郎の食客です、二人はかなりの親しい間柄です。 →喜平治、そういえば3年前に骸の喜平治が火盗改めに捕まって拷問の末に死んだ事があった、あの不気味な雰囲気から似ているが、まさか、本人の筈はないな。

 

長兵衛は万次郎を訪ねた。 初めて会う、猪首の、顔が大きく、ギョロ目の40才位の男が闇不動の万次郎だった。 背中に不動の彫り物を背負っているから闇不動という異名らしい。 水野忠親様の中間部屋の賭場、花魁・小夢への執着、奉行所の動き等々を話して、→水野様のお屋敷から引き払って貰えませんか、と願っても、 →方々に手を打ってある、万一、そうなっても傷付くのは水野様だけよ、こっちは大丈夫だ、と太々しい限りだった。 →最後に一つ、壺振りの銀蔵がイカサマで鳶職の連中と一悶着ありましたぜ、その時一緒に居た喜平治はどんな人ですか? 万次郎の目が鈍く光った。 →タダの渡り者よ、ウチに草鞋を脱いでいるだけだ、おまえさんのところもそうだろう、長兵衛、ひとの所に首を突っ込まん方がいいぜ。 長兵衛は入り口で待っていた吉五郎に言った、→喰えない男だ、饒舌だが肝心な事は言わない、方々に賄賂を贈っているのは間違いないが、自分は絶対捕まらない自信に溢れている、その隠れた理由が判らない。 花川戸に付くと鳶の数人が血走った目で、→益三兄いが昨夜、確かめたい事があると出掛けて以来、帰って来てない、と、探し回っていた。

 

人形町「小染」という呑み屋は先代の親父・50才が妾・お染40才にやらせている店だった。 水野家の事は親父は知っていた。 →万次郎は南北奉行所に賄賂を贈っているから、お咎めは些少、事が露見すれば水野家だけが破滅する、だから殿さまが女を諦めるしか無いが、周囲が反対すればする程当人達は燃え上がるモノだ、気になるが果てさて? と手立てがないと悲愴だった。 →所で、何故、こんなに早く隠居したんですか? →お蝶はたいしたモンだ、初代・長兵衛は25才で独り立ちした、お前を売り出す為に、今、代を継いだ方がイイ、と抜かしやがったのさ、その方が世間の手前がイイ、歌舞伎の中で人気の高い、初代・長兵衛の再来を狙っているのさ、お蝶はお前を日本一にすると本気だ、強きをくじき、弱気を助ける、幡随院の名に恥じぬ生き方が肝心だぞ。 お前の女房に、と連れて来た本人だけにその目は喜色に溢れていた。

 

花川戸に帰る途中、橋のたもとに同心・河下様の顔が見えた。 昨夜の増水で川ざらいをしていたら、鳶・益三の死体が見つかった、と言う。 心の臓を一突きだった。 手練れた者の仕業に間違いない。 →鳶たちは、闇不動の万次郎の手下がやったに違いない、と騒いでいるが証がない、鳶の頭に勝手な真似はするなと釘を刺しておけ、と同心からの戒めだった。 夕刻、河下同心が花川戸に顔を見せた。 →万次郎の手下の銀蔵に会って来た、長兵衛に仲裁を受けたアトは益三に会っていないと言われた。 →それよりも万次郎は絶対捕まらない、と絶対の自信を持っていますぜ、賄賂を方々に配っているンでしょう、けど、用人や留守居役にどうして信用されたんでしょうか? 火盗改めの密偵を今でもしているんですか? まさか、火盗改めの久保様が後ろ盾では無いでしょうね? 河下は難しい顔で、→おぬしの言う事にも一理あるな、と応えて立ち上った。

 

翌朝、長兵衛は水野家の秋野小平太を訪ねた。 →奥方の叔父の斎田監物殿が殿の隠居を目論み、ご支配に相談を持ち掛けたので、殿が呼ばれた、このままでは水野家はお取り潰しになる、女と別れるか、病期を理由に隠居しろ、と脅かしに近い忠告だった。 殿さまは、→別れる積りは無い、隠居もする積りは無い、と強弁した。 秋野は、→水野家は行き着くところまで来たようだ、これも定めだ、と肩を落とした。 (ここまで全307ページの内、83ページまで。 骸の喜平治が生きていた? 拷問死は嘘だった? 益三殺しの犯人は? 花魁・小夢に会いに行った長兵衛の心は? 河下同心から長兵衛に確認されたのは、勝五郎は上州大前田の栄五郎ではないか? 水野の殿様が小夢と逢瀬を楽しんでいるところに乗り込んだ長兵衛は、万次郎に中間部屋を貸した真意を尋ねた、何と!・・・  勝五郎は死神喜平治を知っていた、そして自分の正体を明かした、喜平治は殺し屋だ、誰かを殺しに江戸に舞い戻った? さて、殿さまと小夢の運命は? 裏に隠れた陰謀の仕掛け人は? 死に装束で乗り込んだ場面は流石の幡随院長兵衛だった、お蝶の気転が効いた援軍は? 結構な読み応えである。 第二巻も既に購入済みなので楽しみにページを開こう)

 

 

箱根駅伝、往路優勝は伏兵・創価大学、下馬評にも上がっていなかったのに吃驚! 逆に、優勝候補の青山学院大学がまさかの12位。 原監督は、→想定外だらけ、最早、ゲームオーバー、と無念を語っていた。 復路は駒澤大学の鮮やかな大逆転劇、最終10区で3分19秒もの大差を跳ねのけた三年生の力走が見事だった。 ラスト2㎞から力強く抜き去ったのは爽快だった。 興奮した。 往路優勝のアト、ず~ッと1位を続けていた創価だったのに、抜かれた3年生は可愛そうだった。 しかし、日テレのアナウンサーが、→準優勝、立派! 2位で悔しい!そんなチームになった、来年は優勝候補だ、と掛けた言葉に、→胸に刺さるイイ言葉だった、抜かれた創価生を想って涙腺が崩壊した、と賞賛を浴びていたのは清々しい。 青山は復路優勝、綜合4位でフィニッシュ! 人材豊富の流石の底力だった。 原監督が構想をぶち上げていた。 東京ドームでのスタートとゴール、そのまま表彰式を行えるし、有料観客の動員も期待できる、と。 誠に結構、直ぐ実現できるンじゃないの?

 

 

行き付けのスナックMの電話が変わった、別な番号の案内がある、何だろう?と思ったら、ビルの換気の悪さを訴えてもこの30年、ビルの所有者は何の手立てもしてくれない、今はコロナの心配もある事だし、ススキノのビルは多くの空きがある、だから、思い切って代える、良いトコ探している、節分明けに再開店するから、と元気の良いママの声だった。 3,000円の店は永続して貰わなくちゃ、年金生活者や多くのMのフアンが困る。 (ここまで、5,100字)

 

                 令和3年1月5日