各務原市の文化財再訪。休み時間に平蔵寺跡塔心礎に寄り道。 | 大工の休み時間

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三島建設の2代目大工が書く日記です。
大工成分は少なめです。

こんばんは。

各務原の文化財を再訪しました。

2代目大工の三島です。



ある日の仕事休憩中。

トイレに行くため公園へ歩く。


晴天の暖かな日。

のんびり歩いて数分。


着いたのは各務原蘇原の熊田公園。

住宅街の中にある公園。


その隣はお寺。


名前は平蔵禅寺。

実は以前にも来たことがあるこのお寺。


目的は各務原文化財カード。

カードを集めに各務原を奔走しました。



確かココに来たときは雨だったっけ。

慌てて写真だけ撮って帰った記憶があります。




うーむ。


あの時は慌てて回りすぎました。

深く考える暇もありませんもん。



今日は時間もある。

ついでにゆっくりと観察して行こうっと。




文化財があるのは向かって左手。




この丸っこい大きな石がソレ。


名前は平蔵寺跡塔心礎です。

塔の中心にある柱。
ソレの基礎にあたるのがこの塔心礎。

各務原市の有形文化財になっています。




でも残念ながら真っ二つ。

割れやすそうな石ですもんね。



反対から見ると見事に半分。

割れたのか、ソレとも割ったのか。

改めて見ると綺麗な切断面。


わざと切ったのかと思ってしまいます。





作られたのは白鳳時代。

6世中頃から7世紀ですね。


この頃の塔心礎はやや凝っている印象。



近隣にある山田寺跡塔心礎。

そちらには仏具を入れる穴もありました。



ココはそこまででもない。

でもちゃんと柱のホゾ穴がある。


後期の塔心礎はただの岩。

穴があるだけマシなのです。




こうして見ると穴も真っ直ぐではないなぁ。

やや先細りの穴。
そして裏にも凹みが作ってある。

うむむ。
いったい何のためなのか。

コレは調べても分からなさそうです。




表面は割と凸凹。

職人が頑張って手作りしたはず。


大した道具もない時代。

ハンマーとタガネでコンコン。


なんとも気の遠くなる作業。




ふーむ。

でもそうか。


今だから気の遠くなる感じなのか。


当時は当たり前、ですもん。




なのできっと今の建築業界。

ソレも未来ではそう思われるはず。


家って職人が一軒ずつ手作りしていたのか…

うーん、気が遠くなる作業だ。



なーんて思われるんだろうなぁ。



ふふふ。

1000年もたてば、あり得そうな話ですよね〜。



しばし観察して踵を返す。


さ、現場に戻ろうっと。

ふふふ。
気の遠くなる作業、やりますか。

私も職人ですもん。


施主さんには伝わらないほどのこだわり。
そんな事で一喜一憂。

コレは白鳳時代も変わらないはず。

だとすればあの塔心礎。
アレにも職人のこだわりがあるはず。

綺麗な丸みのあるホゾ穴。
その有機的な形。

ひょっとしてアレこそが職人のこだわりだったのかなぁとふと思って遥か遠い白鳳時代の職人を感じた各務原市有形文化財の平蔵寺跡塔心礎だったのでした。