mishan no oto-,


友人ariちゃんの読みたい読むべき本リストの中から選んだ一冊。
山田詠美さんの本は、立ち読みしたとき、読みにくい気がして、なんとなく敬遠してしまっていたけれど、単純に、私が読書をあまりしてこなかったことによる、読みにくさ、だったようで、
この本、中学高校生あたりで読んでおきたかったな。

話の展開の仕方も、扱われている細かな設定も、今の私には新鮮で、すきだった。
解説で主人公の事を新たなヒーローの誕生みたいに書いていたけれど、まさにそんな感じの男の子。
父親が居らず、母と祖父と三人暮らし。小さな頃から、ある意味一般的でない彼なりの価値観をもって生きている姿は、とても逞しく魅力的だった。
それと、私の中で、あやふやになりかけていた価値観の一部分を1つ1つ選り分けていく作業を手助けしてくれる本だと思った。
片親だから…と非難するような人たちの作った社会のルールなんて...という様な一節があって、
自分の中にも、そんな人たちの面がときどき心にわいてくることを恥ずかしく思った。

毎朝、通勤電車内で読んでいたこの本を、最後は代々木公園の芝生の上、太陽をいっぱいに浴びてピクニック読書で読み終える事ができて、とっても幸せな気分になった。
じわりじわりと、心が満たされた一冊。




ぼくは勉強ができない (新潮文庫)/山田 詠美

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