備前焼 徳利型花入 シラン(紫蘭)
備前焼の徳利型花入にシラン(紫蘭)を生けてみました。
散歩道沿いに雑草に紛れて楚々と白い花を咲かせていましたが、萎れてしまい先端の蕾だけになってしまいました。
(備前焼徳利型花入 18 × 12 cm)
備前焼の徳利型花入は、穴窯の "ころがし" で焼成したもので、備前焼の特徴がよく表れています。
”ころがし” とは、窯の棚が組まれていない焼成スペースを指し、いわゆる「地べた」のことで、薪を投入する際に作品が薪に当たり割れてしまうリスクはありますが、灰に埋もれることで味わい深い景色が生み出される場合があります。
(穴窯 焼成後の様子)
穴窯焼成後の様子です。 (著作権の関係上、ぼかしを入れさせて頂きました。)
赤い矢印が花入が置かれていた場所です。首の先だけちょこっと見えますね。
拡大してみましょう。
首以外は灰が厚く降り積もり、灰が降り積もった部分は熾(おき)が器面に焼き付いて "焦げ” になります。
窯から取り出した後、 サンドペーパーで器面の凸凹をならす "擦り” という手作業を行います。
また、灰に埋没した部分は還元がかかります。
備前焼といえば茶色をイメージされる方も多いと思いますが、茶色は酸化焼成の色で、還元焼成では青っぽくなったり灰色っぽくなったりします。
備前焼の様々な景色や色彩はこのような偶然によって生み出されることも多く、まさに土と炎さらには "灰" の芸術であると言えます。
(写真)備前焼徳利型花入 シラン 2024年3月12日、5月14日撮影