備前焼 ころがし花入 ミツバツツジの一種生け | 高橋みさ子のブログ

高橋みさ子のブログ

趣味のウォーキングを通して出逢った町や自然を
写真とともに楽しくご紹介しています。宜しくお願いします。

(備前焼 ころがし花入 ミツバツツジの一種生け)

 

 

鮮やかなピンク色が印象的なミツバツツジは、備前焼の本場 岡山県備前市では3月中旬から4月上旬ごろ花が咲き、伊部(いんべ)の山肌を明るく彩ります。

 

そんな春本番を告げる花 ミツバツツジを備前焼の「ころがし」花入に生けてみました。

 

 

 

(備前焼 ころがし花入 窯床側)

 

備前焼は釉薬を使わず、日数を掛けてじっくり焼き締める「無釉焼締」(むゆうやきしめ)で知られ備前焼の代名詞ともなっていますが、「ころがし」は釉薬を掛けない備前焼の特性を生かした焼成方法の一つです。

 

薪窯の床に作品を横に置いて(転がして)焼成することで、床と接した部分は上の写真のように赤褐色や暗褐色の素朴な土味が残ります。

 

 

 

(備前焼 ころがし花入 降灰側)

 

反対に、窯床と接していない部分は灰や熾(おき)が積もり、窯床の気流の悪さも手伝って酸欠状態で焼く還元焼成となり自然サンギリが現れます。

 

他にもコゲや自然釉が見られ、「ころがし」は備前焼で言うところの "窯変" が得られ、器に豊かな表情をもたらす焼成方法です。

 

備前の粘土には鉄分が多く含まれ、薪窯で焼成した場合には酸化焼成で赤褐色や暗褐色、還元焼成で青灰色や灰白色などとなります。

 

 

 

 

 

花入は友人の試作品で、曲がっているのがお分かり頂けると思います。

 

窯床に接した部分と灰や熾に埋もれた部分との温度差でこのように歪んでしまうそうです。

 

「ころがし」ではしばしば起こる現象とのことで、焼成の難しさを感じます。

 

「ころがし」は一回の焼成で得られる数が限られることから、備前焼の中でも「青備前」と並び珍重されます。