昭和が残る尼崎ウォーキング(4) 面格子 | 高橋みさ子のブログ

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兵庫県尼崎市をウォーキング中にふと目に止まった昭和なテイストを「昭和が残る尼崎ウォーキング」と題しシリーズでお伝えしています。

今回は面格子特集です。
昭和の高度経済成長期前後に製作されたと思しき面格子を4題お届け致します。

それでは、さっそく本題に入ることにしましょう。


面格子は、防犯目的で窓の外側に窓を覆うように取り付けられるもので、そのデザインは今日では縦格子や菱格子などの "直線" が主流になっています。
また、素材も大半がアルミ製ですが、上の写真のものは鉄製で、中央部には唐草模様の "曲線" が配されています。

曲線は、どこか柔和でフェミニンな優しい印象を与えます。

淡い水色のペンキが爽やかな雰囲気を醸し出していますね。
木製のサッシが時代を感じさせます。

灯油ポンプが窓と面格子の間になぜか挟まれたままになっているこの店舗兼倉庫と思しき建物は、老朽化のため現在は使われていないようです。




こちらのアパートのものは、縞格子に菱形をおしゃれにしたような曲線が配されています。

窓枠と同じ薄緑色のペンキでまとめられ、窓辺に統一感がもたらされています。
こちらのサッシも木製で、今ではほとんど目にすることはなくなりましたね。

窓にはまたまた何故か古いスポーツ新聞が。
アパートは空き家になっていましたので、こちらも建て替えの時期を迎えているようです。




こちらのものは少し時代が下るようですね。

鉄製の菱格子の交差部には、S字曲線の装飾が見られます。
サッシはアルミ製ですね。後から取り換えられたのかも知れません。




青いタイル、木製のドアと窓枠、オシャレな面格子。
" THE 昭和" を感じさせるこちらの建物はスナックとして現役で使用されています。

全体に明るい印象を与え、面格子のデザインも凝っていますね。
スナックという商売柄、華やかさが意図してデザインされているようです。


以上、昭和の面格子を4点ご紹介致しました。
如何でしたでしょうか?
昭和を知る世代も、知らない世代も、昭和という時代を感じて頂けましたら幸いです。


さて、ここからは4つの面格子に共通して用いられている "曲線" というデザイン性について少し考察してみたいと思います。

直線で構成された単調なデザインに少しでも曲線が加わると、華やかで伸びのある開放的な印象を与えます。

華やかと言えば、昭和40年代頃の高度経済成長期に製造されたポットや炊飯ジャーの胴部には、色鮮やかな花柄がデザインされていました。
一定の年齢以上の方は懐かしく思い起こされるのではないでしょうか。

ホーロー鍋やガラスコップ、テーブルクロス、トレー、コーヒーカップ、タイル、カーテン、ティッシュペーパー、さては角砂糖に至るまで暮らしの様々なシーンに花柄が好んで取り入れられていました。

平成の今日ではそうした花柄を目にすることはほとんどなくなりましたね。
むしろユニセックスなデザインが好まれ、「草食系男子」「肉食系女子」に代表されるように男女間の性差が縮まる傾向にあるように思います。

デザインにおいても、性差をことさらには主張しないユニセックスなものが全体の潮流となり、それが平成という今日におけるデザインの "指向性" と見ることもできましょう。

昭和の面格子には、かつて好んで用られたフェミニンでオシャレで華やいだ装飾性が感じられます。
それもまた高度経済成長期における昭和という時代の特性なのでしょう。

(写真)1枚目 兵庫県尼崎市水堂町2丁目 2015.2.21 撮影
    2、3枚目   〃 崇徳院3丁目   〃
     4枚目     〃  道意町3丁目 2014.11.3 撮影


(C)Misako Takahashi 2015