ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)
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「ペンギンの憂鬱」
アンドレイ・クルコフ、著 1996年
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内容(「BOOK」データベースより)
恋人に去られた孤独なヴィクトルは、憂鬱症のペンギンと暮らす売れない小説家。生活のために新聞の死亡記事を書く仕事を始めたが、そのうちまだ生きている大物政治家や財界人や軍人たちの「追悼記事」をあらかじめ書いておく仕事を頼まれ、やがてその大物たちが次々に死んでいく。舞台はソ連崩壊後の新生国家ウクライナの首都キエフ。ヴィクトルの身辺にも不穏な影がちらつく。そしてペンギンの運命は…。欧米各国で翻訳され絶大な賞賛と人気を得た、不条理で物語にみちた長編小説。
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🐧ペンギンと暮らす売れない作家・ヴィクトルは、政官軍の大物たちの追悼記事を彼らが生前の内に書くと言う仕事を頼まれる。
やがてその大物たちが次々と死んで行くと言う事態に……。
同時にヴィクトルのまわりで、不穏な雰囲気が漂い始める。
🐧1966年発表の作品だ。
ウクライナ共和国が独立後、ウクライナ国になる時代。
政治不安もあっただろう。
主人公・ヴィクトルの回りでうごめく不穏な影。
そのあたりには、たぶん、当時のウクライナの情勢が反映されているのだろう。
🐧普通なら、重苦しい雰囲気の作品になるであろう本作だが、ペンギンの存在が本作をファンタジーめいた雰囲気に変える。
ちょっと不条理で、不穏な雰囲気を醸し出す、奇妙な作品。
それが本作を読んだ印象だ。
🐧憂鬱症のペンギン。
南極を棲みかとするペンギンは、主人公にもらい受けられてウクライナで暮らしている。
自分の世界ではない場所。
それが憂鬱の一因だろう。
🐧一種の疎外感。
ここじゃないどこかが本当の居場所。
ペンギンの憂鬱は、著者のそれを反映しているのかもしれない。
🐧いろんな事を思いながら読む、不穏なファンタジーのような作品。
ほんとなら気がめいるような内容を含んでいるのだけれど、読み心地が良い。
不思議な作品だ。
🐧で、ラスト。
実に印象的なラスト。
不条理なままスパッと終わってしまう。
この潔さも実に印象的だ。
🐧しかし……。
ペンギン、どうなったのだろう?!
う~ん……。
🐧これだけ不穏な、陰鬱なエピソードの連続にも関わらず、なんか、登場人物たちに愛着が湧くと言う、独自の作風。
もちろん、ペンギン、可愛い♪
でも主人公も、ソーニャもニーナも可憐だ。
陰鬱と可憐の両立━
う~ん。
この著者、凄いかも。
『ペンギンの憂鬱』。
実に魅力的な作品でした。
本当に面白かったです🐧🐧🐧