少女外道/皆川 博子
¥1,950
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「少女外道」
皆川博子、著。 2010年
皆川博子作品を読みたいという願望と、読まねばならぬという強迫感共にあり。
さて…、ということで『少女外道』をセレクト。
短編集であることと、分量の少なさ、そして何よりタイトルのインパクトに惹かれました。
※
血と<聖痕>と戦争、
そして時の流れ
━異世界へ誘う七つの物語
この感覚は決して悟られてはならない
人には言えない歪みを抱きながら戦前~戦後の日本をひとり生きた女性を描く表題作のはか、ラスト一頁で彼岸と此岸の境を鮮やかに越える「巻鶴トサカの一週間」など、名手・皆川博子の傑作短編七篇を収録
(帯より)
※
ささやかに萌え出る欲情。
そは夜明け前のかそけき紫光にも似て。
あるやなしや、その色さえも定かにあらねど、確かに、密やかに息づく。
情念。
可憐なる情念。
女であることの存在証明。
ふわふわと
ゆらゆらと漂うように。
たゆたうように過ぎてゆく日々。
━振り返れば、そこにこそ、自分の人生の根源たる混沌が横たわっていた。
そんな短編集でしょうか…。
私の受けた印象を、感傷的・感情的に表現すればそういう事になります。
余計、解らん?!
ははは…ですよね。
でも、まぁ、そういう感想もあって良いですよね。
個性です。
大切なのは個性。
…だと思う。
しかし、ね。
不思議な短編集なのですよ。
まぁ、ちょっと私小説っぽい感じなのだけれど、掴みどころがない。
肝要な部分を、言葉で説明しようとすると、スルリと逃げ出して、別のものに変容してしまうような気がします。
微妙な、微妙な感性の紡ぎ出した物語たち。
「巻鶴トサカの一週間」「標本箱」が印象的でした。
なんとなく引き込まれてしまう、さて…と思った所で突然終わる。
そして確かに、そこが最高到達点なのだと気付く。
たぶん、ね。
作品そのものについては忘れてしまう。
ただ、印象だけがいつまでも残る。
そんな作品集だと思います。
不思議な短編集でした。
また何か読んでみたいと思っています。