１９４５年５月１１日。
アメリカでは、(原爆の)第２回目標検討委員会が、開かれた。
その結果、
広島、京都、横浜、小倉の４都市を、
原爆投下の目標と、定めた。
この際、広島、京都を、優先順位の高いＡＡ級目標とした。
横浜、小倉は、優先順位の低いＡ級目標とした。
だが、これから少しして、京都、横浜は、原爆投下の目標地から外された。
原爆開発の責任者だったグローブス少将は、「京都へ原爆を落とすべきだ」と、頑なに京都攻撃にこだわった、という。
しかし、ヘンリー・スティムソン陸軍長官は、京都へ原爆を落とす事に、強く反対した。
「１０００年間朝廷が置かれた古都に、原爆を落としたら、戦後、日本の占領が難しくなる。日本人の反発を招く。日本人は、我々に協力しないだろう」
スティムソン長官の意見が通り、京都は原爆投下目標から外されたらしい。
現在、京都には、外国人観光者が大勢来ている。その中には、アメリカ人もいる。
もし、京都に原爆が落とされ、街が焼け野原になっていたら、彼等はずいぶん少なくなった事だろう。
なぜなら清水寺、金閣寺、銀閣寺、二条城など多くの名建築、文化遺産が失われたはずだ。
有名な寺、神社は、戦後、再建した物ばかりになった事だろう。
再建した物だと、歴史的価値がないから、観光者は当然減る。
１９４５年７月２５日。
アメリカのトルーマン大統領が、承認した原爆投下命令書では、
広島、小倉、長崎、新潟
の４都市が、原爆投下の最終目標となった。そして、
第１目標は、広島
第２目標は、小倉
第３目標は、長崎
と決定した。
１９４５年８月６日の午前８時１５分、米軍は広島へ原爆を投下した。
この時、広島上空は、晴。小倉上空は、曇だった。
天気が、両都市の運、不運をわけた。
この時、もし広島の天気が悪く、小倉の天気が良かったら？
広島へ原爆を落とすのはやめ、第二目標の小倉へ原爆を落としたはずだ、という。
広島は第１目標の上、その時、天気が良かった。これが災いした。
１９４５年８月９日。
原爆ファットマンを搭載したアメリカのＢ2９爆撃機は、初め小倉へ向かう予定だった。
原爆を、小倉へ落とすつもりだった。
しかし、小倉の視界が悪かった。その為、米軍は計画を変更した。
小倉へ原爆を投下するのを、断念した。
行き先を、長崎へ変更した。
長崎は原爆を落とされ、約７万４千人の方が亡くなった。
こうして見ると、人に運の良し悪しがあるように、都市にも運不運があるようだ。
小倉は、二度も原爆を落とされるかもしれない状況になった。
その度に天候が味方してくれ、難を逃れた。
原爆に関してだけ言えば、小倉は運が良かったのだろう。
映画「オッペンハイマー」を見て、「ショックを受けた」とある有名女優さんがブログに書いていた。
が、この記事で紹介の秘話も、日本人にショックを与えるものだ。
原爆を投下すれば、多くの人が亡くなる。
なのに、米軍は原爆投下目標地を、簡単にころころ変更するのだ。
亡くなる人の気持ちなんて、微塵も考えてやしない。
軍人は、「敵に勝つためには、どうすればいいか」ばかり考えて、夢中になる。
そんな軍人だって、戦争をしていない時は、良い人だったりする。
これが、戦争の怖さだ。戦争は人を変える。
※銀閣寺、小倉城の画像は、私自身が旅行で撮影したもの。
原爆のイラストはフリーのもの。