岡本綺堂の「修禅寺物語」 | 話のコレクション

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食べ歩き、旅行、散歩を中心に記事にします。が、それらに行けぬ時は、古今東西の興味深い話を記事にします。

 

上の画像に描かれているのは、鎌倉幕府2代将軍の源頼家。

彼は、源頼朝と北条政子の息子であった。

 

源頼家の主な乳母は、比企氏(埼玉県東松山市にいた豪族)。

妻(若狭局)も、比企氏からもらい、一幡という長男をもうけた。

そのせいで、源頼家は比企氏とはべったり仲が良かった。

 

これが気にくわなかったのが、母親の実家の北条氏である。

(権力を比企氏に取られてしまう。北条家はつぶされるかも)

と思ったようで、頼家に力を発揮させないようにした。

 

そして、頼家が病に倒れると将軍職を奪い、伊豆の修善寺に幽閉した。

頼家が将軍だったのは、わずか一年に過ぎなかった。

 

やがて、北条氏は刺客を送り、頼家を暗殺した。

頼家は、まだ23歳の若さだった。

 

 

伊豆の修善寺に、修禅寺という寺がある。

その寺の宝物館に、源頼家の顔を模写したというお面が残っている。

 

このお面を元に、岡本綺堂が創作したのが「修禅寺物語」だ。

そのストーリーは、以下。

 

修禅寺に幽閉されていた源頼家は、夜叉王に、自分の面を作らせようとする。

夜叉王は、面作りの職人である。

 

夜叉王は、頼家の注文にこたえ、幾度も面を作った。

ところが、作る度、面には死相が出てくる。

 

不吉なので、頼家に面を渡すことがどうしてもできない・・・。

 

だが、とうとう頼家は夜叉王に、無理矢理面を献上させた。

すると面が暗示したように、少しして頼家は悲劇的な最期を迎えた。

 

「修禅寺物語」は、フィクションだが高い評価を得た。

元は戯曲であったが、歌舞伎などでも上演された。

 

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伊豆の修善寺には、源頼家が入ったと伝わる風呂もある。

温泉好きの私だが、修善寺温泉へ行く気になれないのは、頼家の暗いエピソードを色々知っているからだ。

 

昨日からNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の放送が始まった。

このドラマは、北条義時が主人公だから当然、修善寺での源頼家暗殺のシーンも出て来る。

そのシーン、ドラマではどういう風に描かれるだろうか?