2017年2月6日の朝、父親から残念な事を聞いた。
私の家に年1日、2日の割合で来ていた植木職人が亡くなった、というのだ。
この植木屋さんで、驚かされる事があったのは、東日本大震災が起きた時だ。
2011年3月11日、彼はたまたまうちに仕事で来ていた。
そして、高い脚立に乗って松を刈っていた。
すると、あの巨大な地震が、我々を襲ったのだ。
私はその時、ちょうどこのブログをしていた。
大きな揺れにより、パソコンが机から落ちてしまった。
それから、半年してそのパソコンは壊れてしまったのだが、これが原因だったのかも?と今でも思っている。
私が住む街は、震度5だった。
さて、植木屋さん。
2階の窓から、庭の方を見ると、なんと大きい揺れの中、松を刈り続けているではないか
父親が、
「今日は、危険だからもうやめてください」
と声をかけたが、なかなか聞き入れない。
職人独特の頑固さがあった。
余震が度々起こると、さすがに松を刈るのをやめて、我が家の門から外へ出た。
そして道路に立ちながら、刈るのがまだ途中の松を、じいっと見つめていた。
(松め、今日中に何が何でも、お前を刈ってやるぞ)といった表情をしていた。
余震が一時やむと、植木屋さんは、再び松を刈り始めた。
今度は、ゆるい余震が来たが、やはりやめずに刈り続けていた。
プロ根性はすごいのだが、同時に、慎重さが足りず、
(この植木屋さん、大丈夫かな?不注意で、怪我をしないといいが)
と心配になった。
この時、この植木屋さん、既に70代に入っていた。
で、この話は、東日本大震災が起こってすぐも、このブログの記事にしていた。
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2015年だか、2016年の初めだか、この植木屋さんは、他の家で植木を刈っている時、脚立からうっかり足を滑らせ転落したという。
体が動けなくなり、救急車で病院へ運ばれた。
この事は2016年初頭、父親から聞かされた。
だから2016年はこの植木屋さんに、仕事を依頼できなかった。
他の植木職人に、庭木を切ってもらった。
私の嫌な予感が、的中したのだ。
そして、父親が2017年2月5日、老人センターで人から聞いたところによると、彼はその後、病院を転々としたが、治らないまま亡くなったという。
体のどこかを骨折しただけでは亡くならないから、転落した時、脳がやられたのかもしれない。
植木屋さんは有名人ではなかったが、東日本大震災が起きた時、高い所にいたし、ああいう人生の結末。
波乱の生涯だった、と言えるかも。
私は、訃報を耳にした時、彼の冥福を祈った。
古代ギリシャ、中国の哲学者は、
「物事は、中庸がいい」
と述べている。
例えば、臆病ではいけない。
けれど、危険に対し、後さき考えず無謀な挑戦、やみくもな挑戦するのもいけない。
まずまず勇気があるぐらいがいい。
植木屋さんは、勇気がありすぎて、それが慎重さの欠如につながった。
だから、思わぬ事故を招いたのでは?
私達も気をつけましょう。
※この記事は過去書いたもの。今日が3月11日である事に合わせ、再更新した。