これほどまで、立て続けに不祥事続きの政治家がいただろうか。

 

本県選出の広瀬めぐみ参議院議員だ。

 

観光旅行と批判され、いまだに報告書が明らかにされない「エッフェル」視察。

 

カナダ人男性との不適切な交際。

 

そして今回の、勤務実態のない秘書を登録して給与をだまし取ったという詐欺。

 

当選から2年というわずかな間に、不祥事だけが3度も報じられるという「実績」は過去に例を見ない。ここまでくると、政治家にしてはいけない人物だったといわれても仕方あるまい。本人はもちろん、公認候補とした自民党の責任は甚大だ。

 

弁護士資格をもつ御仁なのだから違法なものはなにかはわかっていたとは思うが、その手法は誰かがてほどきしたと考えるのが普通のことだろう。

 

二頭流(二刀流ではない)元オリンピック選手も、裏金を原資にして公職選挙法違反容疑で強制捜査を受けている。

 

裏金事件の闇が解明されないまま、新人から中堅まで「政治とカネ」の問題ばかり噴出する自民党は、いったい何が本業なのかわからない。

 

もはや自民党にまともな政治を求めるのは、「百年河清を俟つが如し」である。

 

政治に金がかかるというが、我々は地方議員などは裏金どころか、選挙だってほぼ自腹で賄っているのが実態だ。

 

事務所経費が足らないから秘書の給与をという報道があったが、地方議員はどこからか持ってくるのではなくつねに自分の懐から出るわけで、広瀬議員の言い分は、もはや政治家ではなくビジネスとしての政治屋の発想だ。

 

だからこそ、自民党の裏金事件は真相を解明し、何にどれだけ使われて、それは誰が求めたものか、本当に必要なものかを詳らかにしなければ、政治は国民の手に戻ってこない。

 

いつまでも限られた人たち、世襲や金持ちだらけの政治では時代についていけない。

 

当たり前の発想を政治に反映させるには、当たり前のルールを作り、当たり前の感覚を持つ人たちも政治の舞台にあげる努力が必要だ。

 

「事情が分からないので、事情が分かったら対応する」広瀬氏は応えたそうだが、一番事情を知っているのは本人だ。

 

過去の事例や事件記者としての経験を踏まえれば、このまま検察に事情聴取され、容疑が固まれば逮捕または在宅起訴の流れが強くなっているのだろう。参議院議員として本人の口から事件のことが語られることは、ほぼない。

 

説明責任を果たすことがないのであれば、そして秘書も嫌疑の対象だとすれば、議員としての活動は継続不能、即刻国民に議席をお返しするのが、せめてもの政治家としての矜持ではないのか。