GWも終わり、政治の世界も通常モードに戻っており、国会は後半に向けて動き出している。
衆院補選の結果も織り込みだったことからだろうか、表面上「岸田おろし」の動きは静かなままで、当面は国会審議で与野党の論戦が中心の政治となる見通しだ。
通常国会は前半は予算審議が、後半戦は法案がそれぞれメインとなるが、後半国会では見逃せない審議がある。
ひとつは何といっても政治改革関連法案。裏金問題を契機に、政治資金規正法の改正などが議論の俎上に上るが、自民党の動きは鈍い。なにが裏金問題を引き起こしたのか、何に裏金が使われたのかなど、国民の前で納得のいく説明は依然としてない。
国民的な議論の前提を隠したままで法案の改正をしようとしても、状況が改善するとは到底思えない。やはり実態解明をもとにして、何を規制し、どんな民主主義のコストをかけるべきか、誰がそのコストの負担をしていくのか、若者や女性の政治進出にとって、あるいは金がないと政治(政治家)が出来ない:現状をどうするのかなどを議論しなければ意味がない。
2つ目は食料農業農村基本法の改正案だ。農政の憲法と言われるこの基本法だが、今回の改正案は国内生産より海外のサプライチェーンに目を向けた内容で、どこの国の農業基本法なのか、現場の反発は根強い。ましてや輸入が止まった時には国が農家に増産の指示をし、従わない場合は罰金などとんでもない内容が含まれている。
現政権の食料安全保障への認識は全く低いといわざるを得ない。
3つ目は地方自治法の改正だ。なかなか一般に関心が向けられる法案ではないが、緊急事態を理由になんでも国が地方に指示できるような中身になっている。先人はこれまで地方分権改革を進め、国と地方は対等というところまで来たのだが、これはこれまでの積み重ねた議論と実績を根底から覆すものになる。
この法律は想定外への対応を可能にしたいというのが触れ込みではあるが、今ある感染症や災害への対応で何が必要で、それをするためにはまず現行法の改正で対応できるように検討を進めるべきだ。それを想定外をなくす努力を怠ったまま、何でもかんでも想定外を理由に一本の法律で網歩掛けようとするのは、行政としても立法府としても怠慢ではないのだろうか。
後半国会の注目はまずこの3点だが、政治改革以外は報道されることも少ない。しかし、国民生活に直結する極めて重要な法案だ。