参院選がスタートした。

 

岸田総理は初日から公認候補の応援のため岩手入りしたが、福島県内で行った第一声では「諸課題を乗り切るためには政治の安定」が必要だと訴えたのだとか。

 

選挙になると「政治の安定」というのは与党の常套句だが、安定させて良い政治かどうかが問われるのが、選挙の本質だ。

 

物価高に対応できているか、物価高の原因はウクライナ侵攻だけなのか、経済金融政策は正しいのか、農業に希望はもてるのか、老後の暮らしは大丈夫か、子どもたちの未来は守れるのか、優先すべき予算の使い道はなにか、それらを踏まえてこの候補ではどうなのか、私たちに共感はあるのか、使える政治家なのか、何をしたいのかなど、シビアに有権者に見られているわけだ。

 

現場を回っていると、今の政治を安定させて良いと思っている人はまずいない。

 

物価は上がったのに、給料や年金は下がり、生活は苦しくなる一方。コメの下落に水田活用交付金の改悪が追い打ちをかけ、離農や耕作放棄地の増大は現実になり、人も農地も生産基盤は壊され、食料安全保障どころではない実態。高齢者の医療費負担は上がり、コロナで企業の借金は膨れ上がる。

 

予算は選挙の直前に構想だけは表明するも、積極的なのは防衛費を2倍することだけ。防衛予算の倍増費用5兆円があれば、何ができるたろう。

 

自民党政権の10年で、農家に対する直接補償は900億円減らされたが、戸別所得補償制度は2000億円もあればコメ農家は守れるし、そこに畜産や園芸、漁業に対象を広げても1兆円あればおつりが来て、一時産業と国民の食は守れる。児童手当を高校まで延長して所得制限を撤廃しても1兆円程度、小中学校の学校給食の無償化は4300億円でできる。削減された年金額は1900億円、高齢者の医療費負担増は1000億円。削ったり、減らしたりしなくてもよくなってしまう。

 

なにより、物価対策に有効な使い方が出来るし、少なくとも5兆円あれば消費税率を2%は下げられる計算だ。

 

安定させてほしいのは、私たちの、生活者の「暮らしの安定」に他ならない。

 

権力者の都合で「政治の安定」を求めるためだけの選挙にしてはならない。