【活動報告】熊本県精神保健福祉センターでの自死遺族支援者研修会 | 自死遺族の私が感じたこと日々あれこれ~誰ひとり取り残さない社会へ~

【活動報告】熊本県精神保健福祉センターでの自死遺族支援者研修会

少し前になりますが10/7に熊本県にて自死遺族支援者研修会の講師としてお話しをさせて頂きました。

 

主催は熊本県精神保健福祉センターと熊本市こころの健康センターです。

 

講演タイトルは「御遺族に寄り添うために」

 

参加者は行政機関や医療機関、学校職員などの支援者が対象者でした。

 

人生2度目の熊本。1回目は中学校の修学旅行でした。その時は阿蘇山や熊牧場に行った記憶があります。

 

久しぶりの熊本にドキドキ…研修も楽しみですが、くまもんに会えるかも?と思いそちらも楽しみでした。

 

研修会は3時間も時間を頂きました。

ありがたいことですが、私の話で3時間も持つのか?話し始めたら止まらないのですが、少々不安もありました…

 

なので、事前にあーでもない、こうでもない。と自分なりに話す内容を組み立ててメモを書いていたのですが、まあ、やはり当日は話し始めたらそんなのはふっとび…いつもの通りでした…

 

しかし、皆さん真剣にお話し聞いてくださり、その反応を感じ、ついつい気持ちに熱が入りあっという間の3時間でありました。

 

内容としては、意外と「よかれ」と思って声をかけた事が相手を傷つけていることがある。そして、遺族は一人一人感じ方、受け止め方、状況、求めていことは違う。私はこうして欲しかった、という事が他の遺族の方に当てはまることではない。皆さん普段のお仕事もあり、大変だと思うけど、最終的にはお一人お一人とコミュニケーションを取って、どうして欲しいか?何が必要なのか?それを聞き出すことが大切。

 

しかし、自死、ということで話しにくい。

遺族側も触れて欲しく無かったり、また支援者側が何気なく言った言葉、元気を出して欲しい、励ましたかった、という思いから出た「よかれ」と思った言葉で相手がこころを閉じてしまったり、そういうことはあるかな、と思います。

 

その中で自死遺族が直面する問題や、精神状況など、私が経験してきたことをお話しさせて頂きました。

 

今回は行政関係者の方々が主な対象者でした。

 

私もありがたいことに、活動始めてから、色々なところでお話しさせて頂いていますが、内容は変わらないところと、そして年齢と経験を重ねて感じ方も変わり、変わるところがあるなと話しながら自分自身感じました。

 

研修会では熊本県、熊本市の自死遺族支援の取り組みもお伺いしました。

 

熊本県では平成20年度から大切な方を自死で亡くした方のご相談やつどいの場として「かたらんね」を始めていらっしゃいます。

 

あとは自死遺族支援ピアサポート事業もされていらっしゃいます。このピアサポート事業の内容としては不特定多数が参加するグループミーティングの参加はハードルが高いが、同じ経験者(ピアサポーター)を通した対話を行うことで、自死遺族が主体性や日常性を取り戻していく過程をサポートすることを目的とします。

 

詳細はホームページ↓

 

 

 

 

この取り組みはいいな、と思いました。

やはり、分かち合いももちろん必要ですが、その他、個別の相談に対応、連携が出来るのはやはり行政の強みだなあと思います。


私が父を亡くした当時、こんな支援があったら、活動という荒波に出す、茨の道に進まず、もっと穏やかな人生だったのかもしれませんね。


まあ、これもたらればでしかありませんが…

 

 

翌日の10月8日は自死遺族の方限定での交流会でした。研修会はかなり緊張したのですが、交流会は遺族の方々とお会いできるということで、少しリラックス出来ました。

 

私がこの活動を始めたきっかけは、遺族の分かち合いで遺族の皆さんに勇気と力を頂けたからです。

 

私にとっては父の自死のことで、自分が酷い扱いを受けるのは当然のことと慣れきってしまい、感覚が麻痺していました。しかし、教師にされた差別を私以上に「田口さん、その先生はなんて酷い先生なんだ!」と大切な人を自死で亡くしたみなさんが怒ってくれたのです。そこで改めて、「ああ、私はひどい扱いを受けていたんだ、そうだ、怒っていいんだ!」と思えるようになれたのです。

 

やはり、当事者同士にしか分からない、話せない、ということは沢山あります。私も他の方達に力を貰えたように、私も他の方々の力に少しでもなれればなと思い、微力ながら活動しています。

 

分かち合いに初めて参加して、初めて話す、という方もいらっしゃいました。


私も最初は勇気が入りました。そしてとても怖かった。今まで気を張って「泣いてたら生きていけないんだよ!」と、まさにハリネズミのように頑張ってきた自分が全て崩れるような気がしていました。


このような場に足を運ぶだけでも大変なエネルギー、そして話すことも大変なエネルギーを使います。本当に凄いことです。


でも、参加しなくてもOK。必要なものはそれぞれで、必要なタイミングもそれぞれ。個人的にはそう思います。


当日は参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。みなさんにお会いできてとても嬉しかったです。願うのは、その方が必要だと思うものに、ちゃんと繋がることが出来ることです。

 

今回お声かけくださったのは熊本県精神保健福祉センターの甲木さんでした。何故私を呼んで下さったのですか?と訪ねてみたら「ネットの力です」と仰って下さいました。やはり、ネットはどこから広がるか分かりませんね。しかし、発信していれば、必ず誰かが見てくれている。感謝です。


当事者同士の繋がりの大切さ、そして、それを見守って下さる支援者の方々の思い。その両方があって初めて、大切な人を自死で亡くした方に「寄り添う」ことが出来るのだと今回の熊本県、熊本市の取り組みで感じました。

 

残念ながら、生くまモンには会えずでした。

情報によると、くまモンは県庁職員なので、県庁に行けば会えるとのこと。因みに8体いるらしいです笑




   リーフレットにもくまモン



  交流会に参加された遺族の方に頂きました。




     街のベンチにもくまモン



    会場ではくまモンがお出迎え



  

 デパートではくまモンがピアノ弾いてます

 

最後に熊本県精神保健福祉センター、熊本市こころの健康センター、研修会に参加して下さったみなさん、遺族のみなさん、ありがとうございました!

 

 熊本県精神保健福祉センターと熊本市こころの健康福祉センターのみなさんと

 

※撮影時のみマスクを外しています。