蘭寿とむ宝塚退団後初舞台ifi見てきましたよ。
すっげー微妙でした。
ものすごい面白い訳でもなく、
ものすごいつまらない訳でもなく、
でも超オススメとはお世辞にも言い難い舞台、というか。

心境的に、
見せ方とか写り方とか研究し尽くしてきたトップのグラビアアイドルが
突然AVデビューしてしまったのを見て泣きながら抜く、
みたいな感じ。(←抜くんかい。。)

はっきり言って女優としては素人だもん。
それはしょうがない。
でもその「素人の割に頑張ってる姿」で金取るのはどうかと思うで。
芸能人のAVデビュー作じゃないんだから。
宝塚でプロ中のプロとして尊敬されてたまゆさんを
いきなりこんな中途半端な姿で晒すとか、
正直悪趣味だと思うけどね。
出るまゆさんもまゆさんだけど。

パンツ穿いた格好いいキャリアウーマンなんていう
男役のイメージをモロに引き摺った役なんかじゃなくても、
まゆさんは十分普通の女性を普通に演じる力があると
ちゃんと感じられた場面もあった。
あ、まぁキャリアウーマンも普通の女性だと思うけど、
色んな女性の中でも男役にかなり寄った方向性の女性という意味で、
世の中もっと色んな女性がいるし
そういうのも全然普通に演じる力があると思ったということです。

ただ、そのためには準備期間が全然足りとらんし、
そういう普通の女性らしさをぐいぐい引き出すような演出もされてなかった。
本人にも葛藤があったのかもしれないけどね、
あんまりいきなりイメージ変えたら今までのファンが離れちゃうかもとか。
でもあんな中途半端に恥じらわれてもこっちが照れるで。
女優として計算して恥じらうという演技はまだできてなかったから。
当たり前だけどね、まだ退団して半年も経ってない訳だし。

でも、そうやって割り引いて見てもらえるのって今だけよ?
というか、あんなに芸事に厳しかったはずのまゆさんが
一度でもそんなハンデつけた舞台に出ることを選ぶとか…
不可解。
ただのワーカホリックか?

まぁ、こういう感想を持つのは
彼女のことを在団中から女の子として見てたからかもしれないけどね。
でも上っ面の女の子らしさを出すだけでは良い女優にはなれないと思うんだ。
そういう意味では、例えば私は在団中はタニちゃん嫌いだったけど、
女優としては面白いと思ってる。
清く正しく美しくの宝塚出身なのにあれだけ下品に身を持ち崩したエロさを出せる人もなかなかいない。
私は演出家じゃないけど、
役者として使ってみたくなるタイプだろうなと思う。

まゆさんもそうなれとは思ってないし、
これから女優を続けるのかどうかすらわからないけど、
女優がものすごい奥が深い仕事と云われるのは
結局自分をどれだけ晒せるかという勇気を試される仕事だからなんだろうな、というのを
今回の舞台を見て逆説的に感じた。


まゆさんは、ガラガラの2階席を見て何を思ったんだろうな。
私は『復活』の頃を思い出したけどね。
決して順風満帆な女優デビューとは言い難いけれど、
早々につまずいておいてよかったと思える日が来るように、
ずっと応援し続けたいな、と思ってます。
まゆさんがんばれ。


9/7夜追記。
まゆさん、
ifiが終わったらやりたいことが見えてくると思う、的なことを
あちこちのインタビューで言ってたけど
それは言ったらあかん。
そんな女優としての覚悟のカケラもないこと言ったら
自分が素人だって宣言してるのと同じやんか。

素人と玄人の違いはお金稼いでるかとか客を呼べるかの違いじゃない。
志の問題。
いくら元宝塚トップでもそんなの関係ない。
自分は女優として生きていくんだ、っていう覚悟もないのに
お金取る舞台で主演とか、
他の頑張ってる女優さんに失礼やで。
まぁ、まゆさんは基本的にしっかりしてるのに
時々こういう失言するあたりも可愛くて好きなんだけどさ。


9/8更に追記。

何がやりたいかわからなくて、
それでもとりあえず舞台に出て
実践的に夢を探りたいなら、
本名で小劇場か何かでまず挑戦してみればよかったのにね。
世の中のたくさんの俳優志望の人達と同じように。

何がやりたいかわからない中途半端な人間でも
とりあえず宝塚ではトップになったから
未熟な過程さえお金取って見せ物にしても
ファンは応援してくれる、なんてまゆさんが都合良く信じたのなら
それは勘違いも甚だしいし
世間知らずのお姫様もいいとこだと思うわ。
宝塚って怖いとこやね。
誰も対等な立場で厳しいこと言ってくれない中でちやほやされてたら、
そりゃどれだけちゃんとした人間でも判断基準がおかしくなると思うわ。
同期とかでもトップになった人にはそんなにダメ出ししないのかもしれないし。
普通の一般人の友達とかおちおち作れないだろうしね。
可哀想。

ちなみにまゆさんが女優としての未熟さを露呈したと私が感じたのは
主に恋愛に関する部分。
ネタバレになるけど、
相手役とマンネリになるほど時間と体を重ねて安心しきってる感じが
全然伝わって来なかった。
セリフがただただ上滑りしてた。
相手に対する安心感、倦怠感、小さなうざったさ、そしてべたっとした甘え、
恋人同士独特の感情をセリフに籠める余地はたくさんあったと思うけど、
そういう工夫を丁寧にすることなくすっ飛ばして喋ってた。
だから再会の場面の感情の盛り上がりとかが薄い。
死んだ恋人にもう一度会えたとしたら、
もっと狂ったようにすがり付くと思うけどね。
巧く演じれば客席大号泣の名場面になっただろうに、
私は全然泣けなかった。

さばさばした女の子ってのは実際存在するし、
さばさばした恋人関係ってのもある。
だからリアルではないとは言わない。
けど、フィクションの中のリアリティとしては
それだけじゃ面白くない。

気の強さとかさばさばとした中に
不意討ちで現れる可愛さとか情念とか、
そういうのが入ってる方が
客としては「どういう人なんだろう?」って惹き込まれる。
そういうのを計算して、
かつ本番では計算を超えたものを出せるのが
凄い役者さんなんだろう、と思う、
(もちろん自分が役者をやってる訳ではないから
見る側としての勝手な希望でしかないんだけど。)