江戸幕府が滅んだ理由 | 「国家戦略特区」blog

「国家戦略特区」blog

ポスト・グローバリズムの社会を考察。日本を貧しくする移民=外国人労働者受入れ政策に警鐘を鳴らしています。

「江戸図屏風に描かれた絢爛豪華な寛永期の都市の姿と、幕末の日本の風景を比較しながら緊縮財政が引き起こした経済の長期低迷を論考します」


経世済民・建築論『江戸図屏風と積極財政』

江戸幕府の滅んだ理由が緊縮財政とは興味津々!とのお方は、発信力強化の為、以下のリンクをクリックにて、ご支援宜しくお願い申し上げます。

人気ブログランキングへ


皆さん国立歴史民俗博物館に所蔵されている「江戸図屏風」という作品があるのをご存知でしょうか?京都の街の風景を俯瞰して描いた「洛中洛外図」という屏風があるのですが、この形式に基づいて作られた徳川家光の頃の江戸の街の様子が描かれています。この屏風は昭和40年に発見された謎の屏風です。

例えば「洛中洛外図」の場合、何処の誰が何の為に作ったのか広く知られていて、それが人から人に渡り、何々美術館所蔵となっているケースが多いのですが「江戸図屏風」は作られてから三百年以上経って初めて突如存在が明らかになったのです。それ故、保存状態も良く最近作られたようにピカピカです。

最初は偽物説も有りましたが、専門家の研究の結果、江戸時代初期に作られた事が確定し、17世紀初頭の寛永期の江戸の風景が分かる貴重な資料となっています。江戸図屏風に描かれた江戸が貴重なのは、その後1657年に発生した明暦の大火によって当時の江戸は廃墟となってしまったからです。



当時の江戸は、大坂冬の陣で豊臣氏が滅亡し、徳川幕藩体制が完成した状況でした。経済も好調で日本中で城や寺院などの建築ブームだったのです。京都の西本願寺の唐門や、東照宮の陽明門など、絢爛豪華な国宝がありますが、これと同レベルの大名屋敷の門が江戸の街にズラッと並んでいたのです。

恐らく当時の世界で、一番ゴージャスで煌びやかな都市が江戸であったのは間違いないでしょう。当然ながら、その中心には江戸城の天守がそびえていました。江戸図屏風では、天守を含め建築物が極めて写実的に描かれている為に資料価値が高く、その当時の建築物のデザインが詳細に分かるのです。

そのキンピカな江戸と対照的なのは、幕末から明治初期の江戸および日本です。黒船来航後に開国されると、多くの西洋人がカメラを持って来日しました。それ故、幕末から明治初期の、江戸時代の様子が分かる写真が数多く残されています。当然、歴史的建造物の写真もあるのですが、それが酷い状態なのです。


江戸に加え、奈良、京都、鎌倉などの神社仏閣は、何れも屋根が垂れボロボロで今にも崩れかけそうな状態で、本当に支え棒で何とか立っています。江戸図屏風や洛中洛外図に描かれた二百年前には世界一裕福な国だったのが貧しくなってしまっている事が一目で分かります。特に木造建築は保守点検が必須です。

また幕末の大名屋敷の門扉であった東大の赤門などが顕著な例ですが、江戸後期に作られた建築は、江戸初期の建築デザイン知っている身から言えば、悪く言えば緊縮財政的な匂いがします。幕府が度々出した倹約令などの悪影響だと思いますが日本に訪れた外国人も日本の建築は地味で質素だと述べています。

しかし、あれ程、強固だった徳川幕藩体制が崩壊した理由は、勿論、欧米列強の侵略が直接原因ですが、日本が経済的に弱体化したのも大きいと考えられます。巨大建造物を次から次に作る供給能力を有していた江戸初期の日本は、全ヨーロッパより多くの火縄銃があったそうですから侵略など到底不可能です。



幕府が倹約令を出し緊縮財政を行った結果、経済成長が鈍化して日本経済が長期停滞している間に、欧米列強が産業革命で経済力を高めパワーバランスが崩れたというのが、黒船来襲の経済的な側面です。今の政府も緊縮財政で、歳出抑制と増税を進めていますが、同じ滅亡のプロセスを歩んでいるのです。

現在一部に明治維新は必要なかったのでは無いかとの意見もありますが、『緊縮財政』で徳川幕藩体制が滅んだのは歴史の必然でしょう。逆に幕府が『積極財政』を行ったら未だに日本は江戸時代が続いていたと考えられます。幕末は、自然災害も多発し経済力が衰えた幕府にはそれに対処する力も無かったのです。

山口晃さんというアーティストがいますが、彼の作品は、今も江戸時代が続いていたら日本はどうなっていたか?というテーマで描かれています。一輪バイクに乗った侍や、メカニカルなお城など、ハイテクな江戸情緒が楽しめます。幕府が積極財政を続けていたら、これが現実社会となっていたのです。

人気ブログランキング参加中。このままじゃ平成の日本も滅びますね?と呆れているお方は以下のリンクをクリックにてご支援宜しくお願い致します。


人気ブログランキングへ



「U.F.O.ユナイテッド・フューチャー・オーガニゼイション/Transworld」

『進撃の庶民』は行き過ぎたグローバリズムなどに警鐘を鳴らすブロガー支援目的のサイト。本エントリーは同ブログ水曜日に連載中のコラムを転載。







コメント欄ルール:ご意見ご批判を含め自由に議論して頂いて結構ですが、社会常識と礼儀作法を伴わないコメントについては適宜、断り無く削除しますので、ご注意ご容赦下さい。