母は父のことを心底嫌っている。
いつからかはわからないが、理由は嫁いでから散々な目にあったが父は常に無関心だったからというのが理由だと思う。母も苦労はしたのだろう。
母の口は辛辣なものが多いが、温厚な父はよっぽどのことがない限り怒らなかった。

母は父の事で気に入らない事があってイライラすると私に当たり散らすことが多かった。
幼い時からずっとそうだ。
幾度となく「女の子は嫌い」と言われ、傷ついたのを覚えている。だがそればかりでなく普段は優しいし、ちゃんと希望も叶えてくれる。
だから母が嫌いと言うわけではない。

母がピリピリするのは決まって父が何かした時。
故に私の中で

父=母を怒らせる人

の図式が成り立っていた。
父に頼むから余計なことはしないでくれ、余計なことは言わないでくれと、腹がたつことも多かった。思春期の時は、いなくなってくれとさえ思ったくらいだ。
父の病気が発覚する前もそう思っていたこともある。

今、迫り来る大きな波に直面している、細くなった父を。
ゴメンねでは済まないけど、伝えられるうちに伝えておきたいと。

残された時間はどれくらいだろうか。


毎日、空の写真を撮ることにした。