Forbes JAPANによると、人生ゲームやモノポリーのようなボードゲーム形式の経営ゲーム「戦略MGマネジメントゲーム」が話題です。
人生ゲームやモノポリーのようなボードゲーム形式の経営ゲームで、参加者ひとりひとりがゲーム形式で起業、経営し、経営活動のさまざまな意思決定を実践していく能動的学習(アクティブ・ラーニング)です(参考:https://www.smg-gr.jp/mg-kyozai/)。
戦い方によっては、「ゲームでよかった」と心底嘆息するようなぞっとする大危機も起きるそうです。
具体的にはどう戦うのでしょうか、どんな人がこのゲームで遊んでいるのでしょうか?
戦略MGインストラクターであり、KPMGなどで同ゲームの研修講師も務める、サイオンアカデミー代表、公認会計士の神野美穂氏が寄稿しています。
経営体験が出来るゲームは色々ありますが、「戦略MGマネジメントゲーム」には、
1.プレイヤーが1人1社の「社長」となり、全ての意思決定・作業を1人で行う
2. ゲームの後に決算を行い、財務三表(損益計算書・貸借対照表・キャッシュ・フロー計算書)を作成して振り返りを行う
3.経営や会計の初心者も参加出来る。回を重ねるとルールが進化し徐々にリアルビジネスに近付くため、何度参加しても楽しめる
という特徴があります。
サイオンアカデミーでは、月2回程度、継続して戦略MGを開催しており、ご参加者の中にはリピーターも多いようです。
サイオンアカデミーが開催する戦略MGでは、3〜6名の「社長」が1つの卓を囲み、1つの商圏を形成します。
同じ卓についた他の社長とは、ライバル関係となります。
参加者の人数によって商圏の数は変化します。
実際のビジネス同様に、1つの商圏に、初参加……、つまり「創業間もないベンチャー企業の社長」もいれば、リピート参加により「大手企業の社長」になっている方もいます。
どのようなライバルが登場するかは、当日のお楽しみです。
実際のゲームでは、一般的なボードゲームと同様にカードを順番に引きます。
その際、通常はカードの指示に従うものが多いと思いますが、戦略MGでは、プレイヤーは「社長」として自ら意思決定を行い、会社を成長させます。
具体的には、まずは従業員を雇い、設備投資を行って、会社の基盤を整えます。
次に、材料を購入して、工場で加工し、製品にして販売します。
販売の際は、入札競争を行い、競合他社の中で最もリーズナブルな値段をつけた会社の製品から売れていきます。
ブランディングを行って製品の魅力をアップさせたり、大量生産大量販売を行うことで製品をお手頃価格で販売するなど、「社長」の手腕次第で様々な戦略を取ることができます。
時々、火災や盗難などの事件・事故も起きますので、そのような場合にはリスク対応も行います。
ゲーム内では、従業員や設備・戦略投資は、色とりどりのチップで表現されます。
実際にこのチップを動かしながらゲームを行う点で、ボードゲームならではの楽しさを感じられると共に、ライバルの動向を伺うこともできる点もポイントです。
ゲームには時間制限があり、決められた時間(40分程度)で1期(1ゲーム)が終了します。
期が終了したら決算を行い、決算書(財務三表)を作成します。
自ら経営した会社の決算書は、まさに「社長」としての自分の成績表です。
自分の意思決定と行動が数字となり、整理され、比較・分析可能な状態で提示されるのは、なかなか刺激的な体験です。
久しぶりにテストを受けたような気持ちになるという方も多いです。
ただし、テストとは言っても、受験のような「合否が出るようなテスト」とは異なります。
理解度や傾向を知るための「定期テスト」に近いものです。
ビジネスパーソンとしての自分の強み・弱みを把握し、今後バランスの良い自律的な人材に成長していただくのがこのゲームの目的です。
戦略MGの業績が悪いことは全く恥ずかしいことではありませんから、気軽に参加してください、とお願いしているそうです。
社会人になると、いつの間にか自分の得意分野の仕事を任されることが増えます。
結果として、高い視点から自分の得意・不得意や、全体の中での役割を考える機会が減っていきます。
戦略MGでは、プレイヤーは「1人社長」として経営にまつわる全てのことを自分でやらなければならないので、普段は組織の中で自分以外の誰かがやってくれている重要な役割に気づくチャンスにもなります。
戦略MGの業績が振るわなくても、視点が変化することで、仕事に良い影響が出る場合も多いです。
「今までは、『自分がもらう時給分働けば良い』と思っていたけれど、経営目線で考えるとそれでは全く足りないと気付いた。考えを改めて仕事に向き合うようになったら昇進した」という方もいらっしゃいました。
戦略MGの参加者は、会社勤務・経営者・フリーランス・士業など様々です。
職種も経営から営業、管理、開発、人事など様々ですし、性別や年齢もバラバラです。
自分とは違う立場の人が行う意思決定を間近で見ることも、大きな学びになります。
まさにアクティブラーニングということが出来るでしょう。
ゲームに慣れたら、事業計画立案や予算実績差異分析を行うことも出来ます。
基本的には、ヒントや手順が記載されたフォーマットに従いプレイヤーが自主的に、かつ自力で行っていただきますが、必要に応じて講師からのアドバイスも行います。
きちんと数字に基づいた計画を立てれば、誰でも安定して経営が出来るようになります。
「私は数字に弱いのです」とおっしゃる方は、本当に多いです。
数字に追われた経験から、「数字」という言葉を聞くだけで拒否反応が出る方もいらっしゃいます。
しかし、数字は事実をわかりやすく表すものでしかなく、数字そのものを恐れる必要はまったくありません。
数字は、とても便利な道具ですから、ぜひ戦略MGを通じて使いこなせるようになってもらいたいです。
以下、実際に参加された方の声からご紹介しましょう。
「数字に強くならなければならないとされるのはなぜなのか、腹落ちした」
「リスクを負うことなく失敗体験を積み、経営をしたり数字を扱ったりする経験値を上げられた」
「自分の知識や経験の偏り・考え方の癖を自覚することで、段違いに成長することが出来た」
経営者はやはり、限界まで借入をして多額の設備投資を行うなど、大きなビジネスにトライする方が多いです。
うまく行く場合もあれば、借金が返せなくなって倒産する場合もありますが、いずれにしろ短期間で成果が出るような派手な経営をされることが多いです。
士業やフリーランスの人は、ブランディングに力を入れる傾向があります。
借入を極端に嫌う方が多く、思い切った投資をしないので、短期的には良くても、固定費が上がってくるとじわじわと苦しくなります。
固定費を吸収するための値上げに成功するかどうかがポイントになります。
ビジネスパーソンは、日常業務で行っていることは難なく出来るのですが、普段取り組んだことがないことをしようとすると手が止まってしまいます。
例えば、戦略MGでは、最初に自分が経営する会社の会社名をつける必要があります。
普段、クリエイティブな仕事をしている人は、すぐに意図を込めた洒落た会社名をつけられるのですが、そうでない人は手が止まってしまいます。
「3分で考えてください」と言われると、苦し紛れに、「黄色が好きだからイエロー株式会社」だとか、「今朝トマトジュースを飲んだからトマト株式会社」など、安易で意味のない名前をつけてしまうケースも多いです。
不思議と、安易に名付けた会社は倒産しやすいのも、戦略MGの面白いところです。
ゲームの中では、実際のビジネスシーンで起きるようなあらゆることが起きます。
粉飾決算・談合のような不正もあれば、社員の大量退職や新規参入企業による価格破壊など、経営者として心が折れそうな事態に陥ることも多々あります。
ただ、これはあくまでもゲームです。
終了後の懇親会では、「ゲームで良かった」とホッとするとともに、「なぜあんなことが起きてしまったのか」とみんなで話し合うなど、ビジネスに関する議論も白熱します。
書籍で読むよりも実感があり、楽しく、その日の成功者の話を直接聞くことができるのも魅力です。
僕自身も、戦略MGのインストラクターですので、このような記事が出るのは非常に嬉しいですし、微力ながらも、戦略MGを世の中に広げていかないといけないなぁと改めて思います。
僕は、ソフトバンクの孫さんが起業前からMGをやっていたとどこかで聞いて、一度やってみたいと思っていたところ、参加する機会があり、参加してみるとすごく楽しく、ビジネスに役立つと思ったので、すぐにインストラクター資格を取ったのですが、ほとんどゲームの開催ができていないので、そろそろ開催して、定期的に開催できるようにしたいですね。
「戦略MGマネジメントゲーム」で経営力を鍛えることについて、あなたはどう思われましたか?