日本の主要マスコミの歪んだ香港報道 | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。


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 香港の民主化デモについての日本のマスメディアの取り上げ方に大きなバイアスがあることを、いろんなところから感じます。

 まず第一に、日本のマスコミは学生と親中派市民との対立が起こっているとの報道はなされるものの、その「親中派市民」には中共が動員したマフィアが含まれていることについて、ほとんど論及していないことです。

 私は海外の報道を逐一見ているわけではありませんので、どの程度海外で報じられているのかについて軽々と断定はできないのですが、日本ほど報道されていないということはないだろうなと感じています。例えば TIME の記事を読んでいましたら、以下のような文に出くわしました。

 Others had joined the protest movement later, shocked into action by the aggressive tactics that had been used to try to break up the rallies, including police tear gas and thuggery from elements linked to Hong Kong’s triad mafia.(警察が放った催涙ガスや香港マフィアの構成員が振るう暴行など、民主派の集会をつぶそうとして用いられている攻撃的なやり口にショックを受け、この抗議活動に後から加わった人たちもいた。)

 BBC にはつぎのような記述がありました。

 "The government allowed the mafia to attack peaceful Occupy participants. It has cut off the path to a dialogue, and should be responsible for the consequences," it said. "The government has not kept its promise. We have no choice but to shelve the talks.”(「政府はマフィアが平和的な占拠運動の参加者を攻撃するのを容認している。対話の道を断っているのは政府の方であり、政府の方に責任がある。政府は約束を守っていない。対話は棚上げせざるをえない。」と、香港学生連盟は語った。)

FOX NEWS は Hong Kong pro-democracy protesters face threat from criminal triads(香港の民主運動参加者がマフィアの脅しに直面)と題する記事を掲載し、以下のように報じました。

Peaceful pro-democracy protesters in Hong Kong are facing a new threat from violent factions associated with organized crime syndicates. On Friday protesters were attacked by counter-protestors belonging to Hong Kong’s criminal triads. Protest leaders accused the government of inciting the violence by colluding with the triads to try and break-up their massive street protest …(香港の平和的な民主派の運動参加者は組織的な犯罪シンジケートと関わりのある暴力集団からの新たな脅しと直面している。金曜日に運動参加者は香港マフィアの反対派から攻撃を受けた。マフィアと結託して暴力を引き起こし、この大規模な抗議行動を潰そうとしていると民主派のリーダーは政府を非難した。)

なお、この記事の最後に The Associated Press contributed to this report. との表記がありましたので、AP通信が配信した記事をFOXが利用したようです。

このように、中共がマフィアを利用して民主派潰しを行っていることは欧米のメディアでは取り上げられていますが、日本ではあまり取り上げられていないのではないかと感じます。(ネット上の検索に基づいていますので、1つずつをきちんと確認したわけではありませんが)

 同様のことですが、中国共産党の機関紙「人民日報」は香港の民主化デモについて、これまでの「違法行為」との表現から「動乱」との表現に切り替えましたが、このこともやはり産経新聞以外には報じている形跡がありません。
産経新聞の記事

 デモに参加してきた学生らは、催涙弾を打ち込まれても暴力的な抵抗を一切行わなかったわけですが、そのような彼らの運動を平気で「動乱」と呼べるところに、中共の御都合主義が如実に表れています。

 また、香港の梁振英行政長官側が学生側との対話を一方的に取りやめたことを受けて、10日の夜に再び10万人の大集会が行われたのですが、この集会の模様についてもほとんど報道されなかったのではないかと思います。


 普段「民主主義を守れ!」と声高に叫んでいるはずの日本のほとんどの大手マスコミが、このような民主主義を圧殺しようとする中共の試みを正確に報道しないのはどういうことでしょうか。彼らが心から民主主義が大切なものだと思っているのであれば、香港の民主主義のために本当に生命を危険にさらすような形で戦っている学生たちの立場や心意気が理解できないはずはありません。つまり彼らが口にする「民主主義」とは日本の政府をテキトーに批判をするための単なるお題目以上のものではないということが、こういうところからよくわかります。

 主要マスコミが民主主義を大切にし、事実を事実として報道するようにしていくことが、私たちに課せられた大きな課題だと、改めて感じるところです。


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