李明博大統領に対する野田総理の親書骨子の公開を求める | 岐路に立つ日本を考える

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 私は日本を世界に誇ることのできる素晴らしい国だと思っていますが、残念ながらこの思いはまだ多くの国民の共通の考えとはなっていないようです。
 日本の抱えている問題について自分なりの見解を表明しながら、この思いを広げていきたいと思っています。

 韓国の李明博大統領に対して野田総理が親書を送ったとの報道がありました。親書ですので、全文そのまま公開するというわけには当然いかないでしょうが、骨子くらいはわからないものかと探ってみましたが、残念ながら公開されておりませんでした。

 親書の骨子は、内閣府のページに飛びますと、いくつか公開されているものがあります。例えば、1998年の橋本総理からロシアのエリツィン大統領に宛てた親書の骨子、2001年の小泉総理からロシアのプーチン大統領に宛てた親書の骨子など、北方領土と絡む親書の骨子が明らかにされています。ですので、親書ゆえに公開が難しいというものでもないはずです。

 領土問題と絡む重大問題で、国民の関心も非常に高いものですから、ぜひ親書の骨子は明らかにしてもらいたいと思います。民主党は「自民党時代は情報公開が全くなっていなかった、国民に多くの問題を判断してもらうためには情報公開が必要だ」と力説して、政権を取ったわけですから、これだけ国民の関心の高いものについては、速やかな情報公開を行うのが筋だと思います。

 私がなぜ親書の骨子を明らかにしてもらいたいと思っているかといえば、野田総理が李明博大統領の発言の何を問題とし、何を正そうとしたのか、両国の関係を建設的なものにするためにどのような提案をされているのか、あるいは対中関係や対北関係を見据えたところまで話を展開されているのかなど、具体的な内容を知りたいと思ったからです。

 発言に対して単に「遺憾」だと言って終わらせて、発言の具体的な内容まで踏み込んでいないのか、それとも発言の具体的な内容の確認も含めて質しているのかということも、実際に大切なところです。

 例えば、李明博大統領は陛下に対して『日王は韓国民に心から土下座したいのなら来い、 重罪人にふさわしく手足を縛って頭を踏んで地面に擦り付けて謝らせてやる。 重罪人が土下座もしない、言葉で謝るだけならふざけた話だ、 そんな馬鹿な話は通用しない、それなら入国は許さないぞ』と、実際には発言したとの情報があります。私はあいにくハングルを解さないですから、ネット上で和訳だと公開されている文章が正しいのかどうかはわかりませんが、こういう点を含めて、発言の事実関係を丁寧に確認するのも、親書の中では大切な部分だと思います。

 相手の嫌がることは確認すらしないのが友好的な外交というわけではないでしょう。挑発的な言葉は用いないということは大切なことだと思いますが、事実を丁寧に確認し、発言の訂正が必要なら訂正を行ってもらい、訂正を行った以上はそれ以上は追求しないで、未来志向で話を進める姿勢を見せることも大切ではないでしょうか。

 さらに、私は親書の内容の骨子について、ハングルでも公開すべきだと思いますし、また公開したことをマスコミを通じて明らかにし、韓国の国民にも広く見てもらうようにすべきであるとも思っています。

 ものごとの道理を大切にしながら、理性的に事態を処理しようとしている日本政府の姿勢を、韓国の国民にもわかってもらうように努めることは、実に大切なところだと考えるからです。

 そしてその上で、親書に対する李明博大統領からの返信も、骨子はハングルと日本語で公開してもらいたいと、これまたマスコミを通じて伝えることが大切ではないかと思います。

 韓国のマスコミ報道を見ていますと、常軌を逸した日本非難が横行しています。このことは実に残念なことですし、その原因の第一は韓国のマスコミの異常さに求められるべきかもしれません。ですが、これを正すために正しい情報を韓国国民に正確に伝えようという努力を日本政府は行ってきたかといえば、全くそうではないのではないかと思います。この点で韓国マスコミの暴走を許してしまっているのは日本政府自体であるとの見方もできるわけです。

 外交は政府のみを相手にして行うべきものではありません。外国の国民も相手にしながら、我々の主張の正当性をしっかり伝える努力を行うことが外交では大切だと思います。歴代の自民党政権も含めて、外交というものの基本的なあり方を見失ってきたのが日本という国ではないのか、そんな思いを私は持っています。