本日より弥生3月がはじまる。

3月1日という日を何気なく思いながら朝を迎えた。
今朝は、3月というには少々寒い朝であった。
窓を開け外に出ると、
寒さを感じてすぐに部屋に戻る。

そんな時にふと思い出したことがある。

もう記憶の彼方のような話であるが、
私にとって3月1日は高校の卒業式があった日である。

我が学園の総長は、
「桃、栗3年、柿8年と言いますが、・・・」
と、毎年のごとく卒業式の挨拶をしていた。
この言葉を共に聞いた友が、
今でも何らかの繋がりを保ってくれていることに
感謝する。

余談であるが、
この同じセリフを大学の卒業式でも聞いた。
そして
同じく二度このセリフを聞いた友も幾人かいる。
長い年月が過ぎた過去を思い出させてくれる
きっかけのひとつがこのセリフとも言える。

このようななんて事のない思い出を
なんとなく考えた。

一昨日、生まれてはじめて、
長編小説なるものを書き終えた。
相変わらず、
やっつけ仕事が身についているようで、
3週間ほどで１３万字余りを書き終えた。
自分としても少々驚きが隠せない。
若いころから小説を書ければいいななどと考えていたが、
還暦を過ぎてまさか書こうとは思いも至らなかった。

そのようなことを思うと、
今日３月１日は、
これまでの人生の卒業式のような気がした。
いわば明日からは、残り僅かかもしれないが、
新しい人生の第一歩の日となるのかもしれない。
おそらく明日の朝を迎えても、さほど変化などあるまい。
しかし、それでもよい。
何ごとにおいても何か新しくなる、
それとも改めることは大切なことと感じる。

2月には小説も書きだしたこともあり、
今までにない心境のようなものを感じている。
意外と小説なるものを書きはじめると
日々が楽しく思えた。
創作意欲などというような立派なものではないが、
毎日が新鮮で、何を書こうか、どう表現しようかなどと
心を躍らせていたような気もする。
書き終えてみると、やっと完成したという安堵と、
明日からこの物語とは触れることがない、
そして、
どこか登場人物達と別れを迎えたような、
何とも言えぬ小さな寂しさのようなものが募る。
それが2月28日のことで、閏29日という1日を挟んで、
本日を迎えるという、
ある種、出来過ぎた物語があったような気がする。
だからこそ人生は、
ある意味、物語のようなもので、
小説というものはさまざまな現実の写し絵であり、
架空でありながら、
そこにはもうひとつの現実が存在するような気がする。

今は、そのようなものを創りだすことが楽しい。
小説を書いてみると、
論文などを欠くよりもはるかに楽しい。
もっと早く気付いていればよかった。
しかし、これも現実。
だからこそ人生は愉快なものだ。

♪桃栗３年柿８年

人生1回目の卒業式