小説『失楽園』 | スコットランドの毎日。

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スコットランドでのフツーの日常ブログです。

 

 

中高年になったら読もうと

若かりし頃に思っていた本を

四十を越えてから色々読んでいます。

ニヒヒ

 

 

このたび、満を持して(?)

渡辺文学最大のヒット『失楽園』を!!

 

 

 

公共の場でカバーをかけず

『失楽園』を読む公然わいせつ感。

笑い泣き

 

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私が高校生の頃ですよ。

世のおじさんたちが、毎朝通勤電車の中で

日経の官能小説を読んでると話題になったのは。

 

そして、97年。

私、ピカピカの大学1年生。

映画『失楽園』が空前のヒット。

あの年、『もののけ姫』に次ぐヒットだったそうですよ。

『もののけ姫』はみんな見に行ってたけど、

大学生だった私の周りに

『失楽園』を見に行ってきたという人は

誰ひとりいなかった。


つまり、中高年の皆さんが

こぞって見に行かれていたんですね。


 

誰と見に行ったんだろう?

お友だちと?

ご夫婦で?

やはり、お一人で???

 

 

 

夏になったら、

ドラマ版がはじまりました。

陸上部の夏合宿、

男子は1つの部屋に集まって

ドラマ鑑賞していた…

 

 

あれから四半世紀を経て

年齢的に、

そろそろ感情移入して読めるかもと始めてみたんですが

 

えーーー、時代が違うんでしょうか?

 

最初から最後までドン引きして終わりました。

 


久木と凛子の未熟さを哀れに感じた、

それ以上でもそれ以下でもないというのが感想。

 

 

部分的には、食い入るように読んだ箇所もあり、

それは、途中に引用されている阿部定事件の調書。

あれには、感動すら覚えました。

 

なんというか、阿部定の証言に

そのあとに続く小説が霞んでしまったよう。

 

現実は小説より奇なり、そのまま。

 

 

 

久木と凛子が、死を選ぶ理由が希薄なのです。

唐突だし。

 

 

まず、久木が男性として、さして魅力的ではない。

一緒に死にたいと思うほどか?という感じ。

 

55歳。

左遷されたとはいえ、退職まであと5年の我慢。

 

 

これが映画版となると

男ざかりの役所広司。

年齢設定は50歳。

 

50だと、左遷後、まだ先が長い。

映画の方が、納得感のある設定。

 

 

 

凛子の夫婦仲が冷え切っている、

という設定も良くない。

 

夫婦仲はこの上ないくらい良く、

夫は人格者で、十分なほどに愛されている。

にもかかわらず、

私という女は、他の人との性愛に溺れ

そこから抜け出せない、

夫に申し訳ないという罪悪感がないと。

死ぬ理由が薄い。

 

 

という云々を

阿部定事件の調書と

『華の乱(深作欣二の)』で描かれた有島武郎事件と

比較しながら思いました。

 

 

渡辺大先生、生意気にもすみません!!!

 

 

 

 

同時に、

渡辺淳一、さすが!!!

と改めて感じた部分もありました。

 

それは『源氏物語』の六条御息所について

書かれたところ。

 

年上とはいえ、美しく教養高い六条御息所と

関係を1度もって、源氏の君が離れて行ったのはなぜか。

 

渡辺先生曰く、

夜の営みの相性が悪かった、以上!

だそうですよ。

 

なるほど。

すごく納得。

 

『源氏に愛された女たち』という本で、

先生は、源氏物語最強女子は、夕顔と言い切っていて

これもすごく説得力がありました。

 

 

 

 

ところで、数年前に

同じく日経新聞で連載され、

話題となった、林真理子『愉楽にて』。

 

これも少し前に読んだんですよ。

とっても面白かったです。

 

林先生は、綿密な取材をされ執筆されている感じが。

(ご本人も相当お金を使って取材したとおっしゃっています)


逆に、渡辺先生は、体験談を存分に書かれたのだなと、

そのように思いました。

お願い

 

 

 

今年は、もう1冊、

長年楽しみにしていた大人の小説をいよいよ読みます!

楽しみです!

また感想文にします。

ニヒヒ