夢のカタチ
巨匠の作品が、ふとしたギャラリー風スペースに、ガラス越しに飾ってあります。
故・倉俣史朗氏の代表作のひとつ [ How High the Moon (1986) ] です。
エキスパンドメタル(金網材)のみでつくられたこの椅子は、
面でもなく 線でもなく、
遮断でもなく 透過でもない、
存在感をもちながら、軽快に開放された空間を生み出していく椅子です。
理解できない、座り心地よくないのでは?など、
疑問符いっぱいのことでしょう。
しかし、機能的にも 構造的にも、既成の概念とは まったく異なるこの構造物は、
アートと実用を行き来する、
美と驚きを結実させた、表現としての椅子として、
デザイン史にさん然と輝く、
コレクターズ・アイテムのひとつなのです。

