木目のテーブルに 琥珀のしずくが映る。
ジョニー・ウォーカー レッドラベル。 その赤いラベルが、 今宵、たった一人の夜の道標。
グラスの氷が、 カラン、と小さく鳴いた。 それが、この部屋で唯一の音。
喉を滑る、そのマイルドな口あたり。 荒々しいようでいて、どこか柔らかな優しさ。 それは、今日一日の喧騒を洗い流すための、 静かな儀式。
立ち上がる香りとともに、 思考がゆっくりと、宙を舞う。
問いは、そこにある。 考えごとの答えは、霧のように手の届く場所。 あと一歩、もうひと雫で、 その形が見える気がする。
だが、焦ることはない。 このひとり静かな飲む酒の時間は、 答えを見つけることよりも、 答えを探すその過程を慈しむためのもの。
今宵はただ、グラスを傾け、 自分の内なる海を、深く静かに見つめよう。 明日、夜明けとともに、 その答えは、きっと、 透明な氷のように姿を現すだろう。
