「ロード・オブ・ウォー」 | こだわりの館blog版
2006-01-19 17:35:14

「ロード・オブ・ウォー」

テーマ:映画(映画館 2006年)

ロード・オブ・ウォー

1/9 有楽座にて


よくぞ、この題材をアメリカ映画として制作できたものだ。
その勇気に一票!


監督・脚本:アンドリュー・ニコル
出演:ニコラス・ケイジ、イーサン・ホーク、ブリジット・モイナハン、ジャレッド・レトー、イアン・ホルム、他


  父親の経営するレストランで働く平凡な男ユーリー・オルロフ(ニコラス・ケイジ)。
  彼は、偶然銃撃戦に巻き込まれたことから、武器商人として生きていく道を思い立つ。
  そして弟のヴィタリー(ジャレッド・レト)とともに武器売買の事業を始め、
  巨額の富を手に入れるのだが…。


題材がとにかく面白い。
湾岸戦争以来、保守本流となっているアメリカ映画の中で、
武器商人を題材に映画をつくろうという、そのタブーに踏み込んだ勇気を評価したい。

アンドリュー・ニコル“インパクト”の作家だと思う。
「ガタガ」のSFというインパクト。
「シモーヌ」のバーチャル芸能人というインパクト。
脚本のみの提供ながら「トルーマン・ショー」
「実はその男は24時間TVで監視されている」というインパクト。
インパクトの作家が、常にインパクトを追求し遂に“武器商人”という
誰もが存在を知ってても、具体的に取り上げる事を躊躇する
タブーの領域にまで踏み込んでいったのは、
勇気がいったろうがまぁ自然な流れであったのかもしれない。
でもここまで強いインパクトに踏み込んでしまったら、次回作では何を取り上げるのだろう…。
と、いう余計なお世話はこれくらいにして本題。

映画は題材が面白いだけに、2時間全く退屈せずにみることができる。
もう展開される一つ一つが目に新鮮で興味津々。
武器商人の成り立ちからサクセス(?)ストーリー、
そしてエキセントリックなアフリカの独裁者に気に入られてしまったがために
現在の自分の“職業”に疑問を感じ、
やがて家庭が崩壊し、親類縁者までもを失って行くまで
たたみ込むような早い展開が、素材の奇抜さと合わさって見る者を引きつけてやまない。

主役の武器商人・ユーリー・オルロフ役を演じたニコラス・ケイジの演技も印象的。
その黙っていても「ちょっと困った顔」の顔の造りが、
武器商人という神経が図太くなければ到底勤まらない職業と
対比しているかのようで非常に効果的。
今までそれほどニコラス・ケイジって好きな役者じゃありませんでした。
あの顔で“いい男”役をやることに抵抗があったのですが、
この作品ではその“顔の造り”がかえって効果的になるんですから
やっぱり適材適所って言葉があるのも納得です。

脇を固める役者も充実。
インターポールの刑事役のイーサン・ホークは、
前半の「自分は完璧!」というプライドの高さが、ユーリーの“したたかさ”に完敗しズタズタにされる、
その“情けなさ”が痛快。
ユーリーの妻役のエヴァ・フォンテーヌ
彼が大金をはたいて口説き落とすのも納得の美しさ。
英国のベテラン、イアン・ホルムが対立するライバル武器商人として
さりげなく出演しているところがこの作品のスパイス。
そしてユーリーの弟役のジャレッド・レトが兄の商売に協力しながらも
、根本的にその商売に疑問を持ったがために
ヘロイン中毒になり精神をも病んでいくその姿を繊細に好演。
尋常な人だったらきっと彼みたいになってしまうに違いない。
その等身大的なキャラクターに親近感が沸く。
こういう突拍子もないストーリーには一人くらい
リアルな人物がいないと作品全体もウソ臭くなってしまいますもの。

但し、この作品。
一つだけ難をいうならば、これだけ突拍子もないストーリーなのだから
もうちょっと全編にユーモアがほしかったなと思う。
これはアンドリュー・ニコルの他の作品にも共通して言える事なのだが、
真面目にストレートに主題を訴えるのは確かに本流のアプローチだとは思う。
だけど「シモーヌ」の時も変に真面目になってしまうがために作品全体が弾まなかったように、
この作品も、もうちょっと“ユーモア”を持って描いていれば、
作品全体(特に崩壊して行く後半)が見やすくなるとともに、
かえって作者の“皮肉”が利いて効果的だったのではないだろうか。

この作品を見ながら遥か昔、
核戦争の冷戦時代を描いたキューブリックの「博士の異常な愛情」
完全にコメディーとして描いたことで
逆に背筋の凍る現実の怖さを伝え、痛烈なメッセージを送っていたのに
…などと思ってしまった。

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