「隣人13号」 | こだわりの館blog版

「隣人13号」

隣人13号

5/7 シネクイント にて


陰惨な復讐劇だというのに何故か後味がいい。
「ハイド・アンド・シーク」 と大違いだなぁ…。


監督:井上靖雄
原作:井上三太
出演:中村獅童、小栗旬、新井浩文、吉村由美、石井智也、三池崇史、他


 小学生の頃、赤井トール(新井浩文)に受けたイジメに復讐するために、
 10年ぶりに地元に帰ってきた村崎十三(小栗旬)。
 彼はイジメを受けたトラウマから自分の中にもう一人の13号(中村獅童)という
 凶暴な人格を宿してしまっていた。
 十三は赤井と同じ職場に潜り込み、13号の力も借り徐々に恨みをはらしていくが、
 次第に13号の登場を制御できなくなり、
 赤井トール以外の犠牲者をも生み出してしまうのだが…。


中村獅童がいいですね。
主人公・十三のもう一人の人格である13号役。
気の弱い十三が生み出したキャラクターですから、血も涙もない凶暴きわまる役柄。
そこらへんの若手が演じたら凶暴さを前面に出した、ただうるさいだけの役になってしまっていたろう。
しかし中村獅童は“怪演”と呼ぶにふさわしい演技で、見事にこの難役を演じきっています。
表面上は中村獅童は非常に淡々と13号を演じています。
今や妻(吉村由美)も子もいる赤井トールの家に留守を見計らい上がりこみ、
一見“いたずら”としか見えないような行為、
(例えばトイレで小便を便器以外のところにしまくるなど)を行う。
しかし中村獅童の無言でしかも完全に“イッて”しまっている目で演じられると、
狂気の果てに行き着いた人間がとっている行動として、見る者にはただひたすらに怖いのであります。
その他でも中村獅童はほとんど台詞を喋りません。
行動立ち姿と、そして表情“狂気”を表現しています。ここが本当見事ですね。
さすが歌舞伎役者。
【ハラ芸】ができているから無言でも自分のキャラクターをしっかり表現できるのでしょう。
ラストで 赤井トールを追い詰めた時の演技など【狂気の極み】で、
その迫力たるやこのシーンだけでも一見の価値はありますね。


対する十三役の小栗旬は、見所を全て中村獅童に持っていかれてしまい、
役柄としても、ただひたすら気弱な役ですから演技の為所もなく、
かわいそうって言ったらかわいそうでしたね。
若手として最近よく名前を見かけますので、他の作品に期待することにしましょう。


他には赤井トール役の新井浩文とトールの妻役の吉村由美(Paffy)が良かったですね。
新井浩文は「GO!」といい「ジョゼと虎と魚たち」といい、ああいう役柄が固定してしまったようで、
役者のイメージとしてはよくない傾向ではありますが、
【大人になったいじめっ子】を演じさせたら天下一品。もう安心して見ていられます。
吉村由美は元ヤンキーあがりという役柄がぴったり!
素なのか演技なのかわからないスレスレのラインで演じていて、その自然体が良かったです。


一番はじめに“後味がいい”と書きました。
この作品、ラストの展開が私は好きです
これからご覧の方もいると思うので、詳細は書きませんが、
この作品は極めて日本的な物語の着地の仕方をします。
復讐もここまでくると【喧嘩両成敗】に行き着いてしまうという解釈が、見る者に安心感を与えてくれます。
ここが日本という国、また日本人の考え方の良さを感じますね。
【目には目を】で何事にも徹底的なアメリカ映画とは決定的に違うところですね。
「ハイド・アンド・シーク」 のように客をびっくりさせるには親も子もない、という考え方には
日本人としてはどうにも納得がいかないんですね。
何度も取り上げて申し訳ないんですけど!


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