ぶんぶん丸が、「モリコロパークに行きたい」と云ったが、急には予約が取れないので、今回は見送ることにした。
では、何処へ行こう?
sei-seiの頭に浮かんだのは、奈良市(奈良県)と島田市(静岡県)だった。島田市の方がいくぶん近く、雪の心配もない。第二東名で島田市を目指すことに決めた。
島田市訪問は2度目だ。大井川鐡道に乗るために来たことがある。ぶんぶん丸が、まだ幼児だった頃だ。久々の島田市。
まず最初に向かったのは、『ふじのくに茶の都ミュージアム』である。『茶の郷』という施設をリニューアルしたようだ。手頃な体験コースがいくつもある。実際に触れる展示物も多く、お茶好きな美猫姫は興奮気味。
土産物コーナーで、高価な茶葉をねだられた。
移動の途中でそばを食べ、次に向かったのは、『蓬莱橋』、ギネスブックに載っている橋である。
「長い橋ですか?」
ぶんぶん丸が、心配げに訊いてきた。
「そうだよ。世界で一番長い木造歩道橋なんだって」
「ぐらぐらしますか?」
どうやら、吊橋だと勘違いしたようだ。
「大丈夫。足のある橋だから」
この橋、897.4mあるらしい。初代は明治12年に完成したとか。通行料は100円である。定期券もあるらしい。今でこそ観光地だが、もともとは生活に不可欠なものだったのだろう。
最後に、「島田」「大井川」の勉強をしようと、『島田市博物館』『川越遺跡』『島田市博物館分館』とまわる。
sei-sei、島田市に来たら、どうして食べてみたいものがあった。『清水屋』の「黒大奴」である。本店に買いに行くつもりだったが、土産物屋で発見。即購入。
唯一無二の和菓子として、いろいろな本に取り上げられている。
「これはチョコレートですか?」
ぶんぶん丸が首をかしげている。
「違うよ。あんこのお菓子だよ」
「昆布が入っているらしいよ」
美猫姫が口を挟んできた。
「そんなバカなことがありますか」
ぶんぶん丸は、美猫姫が自分をからかっていると思ったようだ。
「本当なんだよ」
包み紙の材料表を見せてやる。
「確かに、昆布、ありますねぇ~」
「黒大奴」は、こしあんの玉に、昆布入りの羊羹をかけてコーティングしてある菓子なのだ。黒々、つやつやである。そのうえに、ケシの実が飾られていて……。
「猫さん、昆布、わかる?」
「後味にいるかな? 遠くにほのかにいる感じ。でも、予備知識がなかったら、気づかなかっただろうね」
ひとつでは足りずに、ふたつ目もパクリ。満足、満足。