2022.10.27(金)　タロット小説『法王・恋人』編

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おはようございます。北海道苫小牧（とまこまい）市、『霊観占い大幸』代表の峰ゆり子です。今日も御縁を授かり感謝いたします。また、いつもブログをご支援くださいましてありがとうございます。

タロット・ネット小説　『愛夢里（あむり）』

『人生が変わる』編

タロット画像：tarot the new vision

昨日の続きから

北海道の田舎町で育った愛夢里。いくらお洒落をしても、希望夢の母親と姉妹とでは、どことなく都会的という面で自分との差という違和感を感じてしまっていた。

タロット画像：PICTORIAL KEY

希望夢の実家は千葉県にあった。父親は大手建築会社の社長というのは希望夢から聞いていた。

北海道の愛夢里の実家とは桁違いの大きく立派な家だった。

愛夢里は緊張しすぎて、出された紅茶さえも口にすることができずにいた。

母親：「愛夢里さんの御両親はどのようなお仕事をなさっているのですか？」

穏やかに話はしてくれているものの、どこか棘のあるような、また見下されているような気持ちにさせられていた愛夢里だった。

杓子定規（しゃくしじょうぎ）というか、もはや通用しない自分の中での常識が崩されていくのを感じていた。そして、希望夢と結婚はしたいけれど、この両親や姉妹とうまくやっていけるのだろうかという不安が脳裏を過（よぎ）り、「実家のルールに縛られて、うっとうしく感じ、自分は傷つくかもしれない？」そんな過度な心配に飲み込まれていきそうな気持だった。そして、この結婚が本当に正しいのか正しくないのか確信が持てなくなってしまっていた。

でも…「希望夢が好き！」

タロット画像：STEAMPUNK TAROT

迷えば迷うほど、占い師の言葉が気にかかり始めていた。

今すぐ、この場所から希望夢と一緒に逃げたいと思った。

その反面、傷ついてもこの両親や姉妹と向き合う勇気が欲しいとも考えていた。「でも私からは質問できない。お互いの関係が悪くなることもあるかもしれないから。」と、グッと心を抑えた。出された料理は、自分の実家では口にしたことのない料理ばかりだった。希望夢の母親は料理の先生なのだ。テーブルに並んだ料理は、どれもこれもお洒落に盛り付けられていた。

希望夢がお手洗いに行ったのかは定かではないが席を立った。そして、父親も席を離れた。

希望夢の母親：「召し上がって！　お口に合うかどうか？」

静かにテーブルに座して、冷ややかな口調で話しかけてきた。

愛夢里が箸を持つと、食べる仕草も一から十まで監視されているような、基本のマナーを身につけているかどうか見られているような感じで食事が喉を通らないというか、味までも分からなくなっていた。そして愛夢里は、「この場から逃げたい！　逃げたい！　逃げたい！」そればかりが頭の中でぐるぐると渦を巻いていた。

「希望夢！　早く戻って来てー！」そればかりを考えながら食卓テーブルに座っていたのである。

食卓テーブルは8人掛けの大きくモダンな洋テーブル。多分、オーダーメイドなのかもしれないと思った。そのテーブルには、ブルーのテーブルクロスに和柄のランチョンマットが敷かれ、その上に料理が並べられていた。

タロット画像：ALICE TAROT

人間は精神的に追いつめられると、なぜか悲しくなるものだ。緊張しすぎてトイレに行きたくても言い出せなかった。希望夢がいない時間がとても長く感じられた。

そして愛夢里は大きな孤独感に追い込まれていたのだった。

タロット画像：STEAMPUNK TAROT

そんな時、幼い頃に愛夢里の祖父から聞いた言葉を思い出した。

「愛夢里は素直な子だ。今のままの素直な気持ちで成長すればそれでいい！　愛夢里を支えてくれる誰かの優しさを忘れずに『ありがとう』という感謝の気持ちだけを忘れなければ大丈夫！　背伸びをしなくてもいいんだよ。自分を受け入れれば、特別相手に合わせて変わらなくてもいいんだよ。だからそのままでいい！　大切なのは自分を肯定する強い心を持つことかもしれないよ。」

祖父の言葉を思い出したことで、少しだけ心が楽になった。たぶん、天国から祖父が見ていて、助け舟を差し伸べてくれたのかもしれないと思った。

愛夢里は幼い頃、おじいちゃん子だった。

希望夢が少しだけ浮かない顔をして戻った来た。

簡単に食事を済ませると、「外に出ようか」と、愛夢里の肩に手を添えた。

愛夢里が「ご馳走様でした。今日はお時間を取ってくださりありがとうございました。」とお礼を言うと、希望夢の母親は、「またいらっしゃいね。」とは言ってくれなかった。そして、「さようなら」とだけ伝えられた。

「それはどういう意味なのだろう？　もう来なくてもいいわよ？って意味なのだろうか？」

理解したい！　でも理解しがたい母親の態度だった。そして、未来への期待感が愛夢里の心から遠ざかるような予感がしていた。

希望夢は多くを語らず愛夢里の唇にそっと手を触れた。

「大丈夫だから。何も心配しないで。羽田空港まで送るよ」。

希望夢とこのまま別れると、永遠の別れになるような、そんな気持ちにさせられていた愛夢里だった。

この続きはまた明日。

タロットカードのワンポイントアドバイス！

タロットは大アルカナと呼ばれるカードが22枚。小アルカナと呼ばれるカード56枚で構成されています。その中でも大アルカナと呼ばれている22枚のカードは別々の意味ではなく一連の流れで繋がっています。例えば「1番魔術師と2番女教皇」はどのように違うのか？　「5番法王と6番恋人」は異質だけどどのように変化するのか？　このようなことを理解するためには、前後のカードとつなげて考えると見えてくるものがあります。

0番の愚者というカードは、番最後の「21番世界」のカードによってリセットされる段階になります。なぜなら、愚者のカードには輪廻転生（生まれ変わる）という意味があるからです。

21番のカードは、『0』という数字の中に人がいます。それは、「0」でリセットして「０の状態（自由になって何もない状態、最初からやり直す、改めて出直す）」という、人生のスタートの始まりです。その人生の始まりで出会うのが『魔術師（誰か？）』なのです。その誰かと出会うことで、新たな人生の始まりになります。

この小説では、愛夢里が高校を卒業して、たまたま東京から旅行に来ていた大学生の希望夢と出会いました。

ということは「愛夢里という愚者（ひとりの人間）」は

「希望夢という愚者（ひとりの人間）」と出会うことで、お互いの運命が大きく変わるということになります。

この『愚者』という『人物』は「愛夢里」であり「希望夢」。

また『魔術師』という『人物』は、お互いに影響を与える「愛夢里」であり「希望夢」ということになります。

『魔術師』は、あなたにとって最初に出会う「人物（又は会社＆職場）」なので、良くも悪くも、あなたの人生を大きく変えることになります。

人は相手がいたとしても、個人という人物には変わりません。そして個人の人生は、たとえパートナーがいたとしても、人生そのものという個々の歩みは別々です。例え話ばかりしますが、結婚したとして、互いに仕事を持っていれば、お互いの職場で出会う人は違いますし、相手が今会社で何をしているかは分かりません。それは個々の人生だからです。夫が他の誰かと出会って、はたまた妻が他の場所で誰かと出会う相手も『魔術師』です。

魔術師の後になぜ女教皇が来るのか？　それは、「感情と理性」を試すためです。

試された出来事であなたが神秘のベールを開けて前に進むか進むないかにより、また人生は大きく変わりす。人によっては、その神秘の先にあるものを見たい感情が強ければ前に進み、理性が強すぎて怖いと思う気持ちが打ち勝てば、未来という先を見ることなくまた別な出会いがあるかもしれません。

それゆえ、『愚者』も『魔術師』も、今現在のあなたのターニングポイントとなる、お互いの人生に影響を与える人物ということになるのです。

タロット画像：タロットカードTHE FAIRY TAROTS

出会った2人の人生は別々ですが、↓『2』という数字から何かと向き合って生きていくことになります。女教皇の両側に「白と黒」の柱がありますが、これは「愛と試練という柱」なのです。そして、女教皇の座る椅子の後ろには暖簾のようなベールで隠されています。「１（出会い）」で始まり「2（何かと向き合う）」出来事が起こる一歩手前です。ですから、感情と理性が大切なのです。

もうひとつ例をあげると、生まれたばかりの赤ちゃんがお母さんのお腹から生まれて最初に出会う人が母親です。

赤ちゃんは愚者という人間です。母親も肉体に魂を持つ愚者という人間です。

赤ちゃんという愚者にとっては、父親もいますので父親と母親が両親ということになります。

「自分という土台を作ってくれる何か？」

「自分を作ってくれる父親と母親」。

母親と父親はパートナーですが、2人でひとりではありません。赤ちゃんは父親のパートナーである母親のお腹から生まれてくるので、父親と母親は同じ場所にいたとしても、赤ちゃんを生み苦しむのは母親で、側で見守ることしかできない父親と母親では肉体的ハンディがあります。また、赤ちゃんが母親の臍の緒で繋がれているので、最初に出会うのは母親です。ということは、赤ちゃんにとって母親は魔術師です。そして、母親はお腹から生まれ落ちる赤ちゃんを始めてみるので、母親からしてみると赤ちゃんが魔術師なのです。

そして下記の『皇帝』と『恋人』のカードは「何か？」との「繋がりと結びつき」です。