私たちは“仮想現実の世界”に生きている!

9)現代における仮想の世界⑲:世の中の真の姿を見極める②

 

 この点について、1990年からロシアに28年間住み、同国外務省付属モスクワ国際関係大学を卒業した北野幸伯氏は、その中で体得した『世界の本当の姿を知るための原理』を『日本人の知らない クレムリン・メソッド 世界を動かす11の原理』という本を出しています。そして、この本を出すに至った理由として次のように説明されています。曰く、「実をいうと、普通の人の『心』は『支配者』によって密かに、思い通りにコントロールされている。そのために、自分でも知らないうちにあなたの心は操られ、次にあなたのなかでそれがさも『当然の現実』のように『実体化』され、『しかたのないこと』『受け入れざるをえない事実』と感じるようになる。だから、たとえば生活がじわりじわりと苦しくなっていくことも我慢せざるをえなくなる。しかし、この本を読み、できるだけ正しく情報を理解することで、あなたは、あなたの人生を、あなた自身で決めることができるようになるでしょう。」

 

 今世界では、イギリスのEUからの離脱(“Brexit”)に始まり、アメリカでは『自国ファースト』を主張するトランプ政権が誕生、フランスでは極右政党、国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン女史が大統領選で負けはしたものの票を伸ばし、ドイツでも右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が勢力を伸ばしています。これらの動きを報道するマスコミは、トランプの暴言をあげつらい人種差別主義者であると揶揄したり、フランスやドイツの動きも極右のポピュリズム政党と表現するなど相当のバイアスがかかっています。しかし、これはこれまでのグローバリズム至上主義への反発・反動として、『主権国家』や『民主主義』を取り戻そうとする極めて正常な動きであるとの見方も可能であり、私自身、それがむしろそれが客観的に正しい見方であると考えます。

 

 また、日本について見ると、21世紀以降日本が進んでいる方向、特に安倍政権の諸政策は、政治家の言うことやマスコミ報道などの偏った情報からはその本当の姿や意味、効果などが非常に分かりにくく、正否の判断が容易ではありませんが、起こっている現象を客観的に見れば次の様に理解することができます。

 

 21世紀に入って以降、“非正規社員”という新たな“社会的な最下層”が生み出され、職にはつけても、結婚できない、子供も作れないという状態に陥っています。また、その煽りを受けて正規社員の実質賃金も上がらず、国内消費も増えず、それ故企業の投資も増えない。こうして、供給過剰で需要不足のデフレ不況が20年以上も続く中、安倍政権は、新自由主義の誤りに気付いて方向転換をしつつある諸外国と異なり、周回遅れでこの“新自由主義”に基づいた『規制緩和』『構造改革』『自由化』『民営化』の諸政策に邁進しており、今後益々供給力が強化されてデフレ圧力が強まることが予想されます。加えて安い賃金で喜んで働く移民の受け入れを促進しつつあることは、今後日本人労働者との間で賃金の引き下げという底辺に向けた競争を生み出すことも予想されています。その上に、消費に対するペナルティとして機能する消費税を8%から10%に引き上げるというとんでもない愚策を実行してしまいました。その結果、国内の需要はさらに冷え込んでいます。さらに、財務省の『国の借金1000兆円』『このままでは日本は財政破綻する』というプロパガンダに洗脳されて“緊縮財政”という呪いに縛られた安倍政権は、老朽化したインフラの再整備や新幹線の整備拡張、科学技術の振興、少子化対策、介護などの社会保障など本来国が使うべき財政支出を悉く削られて手足を縛られた状態になっています。この点、世の中では誤解されていますが、実はアベノミクスの第二の矢である『積極的な財政支出』は“折れた”まま、ほとんど実行されていないのです。このままでは、今後益々”デフレ脱却”の道は遠のいて、貧富の格差が拡大し、日本は貧困化の道を邁進していくでしょう。

 

 より重要なことは、軍事費までが緊縮財政の方針の下削減されていることです。しかしながら、東アジアの情勢を見れば、GDP世界2位の経済大国となった中国は、経済成長とともに軍事費を益々拡大しつつあり、特に2012年に習近平が国家主席となってからは、中国がこれまで隠してきた“角”を隠そうともせず、アメリカの覇権に挑戦する意思を鮮明に表し(『China 2049 世界覇権100年戦略』マイケル・ピルズベリー著)、南シナ海や東シナ海において人工島を作り軍事拠点化を進めるとともに、日本との間に領土問題を抱えるロシアと韓国に『反日統一戦線』を呼びかけ、尖閣諸島周辺において領海侵犯を繰り返し、その先には日本の沖縄までを虎視眈々と狙っています。他方、これまでの覇権国家たるアメリカの衰退は著しく、既にオバマ政権のときには“世界の警察”を止めることを宣言、『一帯一路』戦略を打ち出した中国が対象国への資金融資のために作った『アジアインフラ投資銀行(AIIB)』への参加を止めたアメリカの意向に反してイギリスが参加すると、堰を切ったようにドイツやフランスその他多くの国が参加してしまったこと、代わったトランプ大統領は、『自国ファースト』を打ち出し、東アジアからの軍事的な撤退を視野に入れています。これまで日本が自国の平和の維持のために100%依存してきたアメリカの核の傘と日米安全保障条約はいつ無くなるかもしれないというリスクにさらされているのです。もし本当にそうなれば、アメリカが日本の危機を救うことを放棄した場合には、日本の倍以上の軍事費を投入している中国に対して、日本は単独で勝つことは到底できません。となれば、『中国の属国』となる他ないという“悲惨な未来”を予想せざるをえないのです。

 

 このような世界や日本の現状とその先の未来も、それぞれ誰かが意図してそれを作っており、一般世間の人々は様々な形で“洗脳”されて、重要な情報が隠され、“恐るべき将来のリスク”に気づかないまま、やむをえないものとして受け入れてしまっているのではないでしょうか?

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