私たちは“仮想現実の世界”に生きている!

9)現代における仮想の世界⑯:規制緩和の実態⑥

 

 そして、水道民営化です。日本の水道管は老朽化しており、問題です。問題の解決のためには、政府がお金を出して水道管を交換すればいいわけです。地方自治体では費用負担が難しいというのであれば、政府が予算を組んで地方に配ればいいのです。それで水道管を交換する。ところが、政府は『緊縮財政』ですから、水道のメンテナンスにはお金を一切使いたくない、そこで民営化だ、しかもコンセッション方式だということになるのです。コンセッション方式というのは、水道のハードウエア、水道管とか浄水場とか、そういうハードウエアについては今までどおり自治体が保有する。その上の“水道事業”というおいしい部分だけを民営化して、新規参入してくださいということなのです。そもそもの目的は、ベリタス社やスエズ社といった水道メジャーが、日本の水道サービスで稼ぎたいというだけの話なのです。ベリタス社は、以前から日本の水道ビジネスに入りたかったのですが、自然災害が問題でした。水道ネットワーク、ハードウエアまで含めて全部請け負うとなると、当然、大震災とか大規模自然災害に対する復旧の義務を負うことになりますが、そのリスクは、計算できません。大震災でも起きたら、大変なコストがかかってしまいます。そういうリスクは負いたくない。しかし、日本市場で稼ぎたい、だからコンセッション方式なのです。しかし、そういうような進め方をしたら、誰も受け入れてくれないから、「いや、水道管が老朽化しているからこれの交換が必要なんですが、緊縮財政でみんなお金がないから、民営化するしかないんですよ」というレトリックでやられたわけです。

 

 カジノも同じです。長引くデフレーションによって経済が停滞していますが、デフレ対策は、緊縮財政だからやりません、というわけで、上に述べた理屈同様、民間に投資してもらいましょうということになりますが、民間も、デフレの国で簡単に投資は増やしません。そこで、カジノ解禁、民間投資でIR 建設を、という話ですが、自由貿易ですから、外資規制はない。つまりカジノ解禁は、外資を含むカジノ産業が、日本市場で我々国民の所得から利益を吸い取ろうとしているということなのです。

 

 そして、『移民の受け入れ』です。これは少子高齢化に端を発する、生産年齢人口比率の低下によって、人手不足が深刻化しているという現象への対策とされています。しかし、“人手不足”が深刻なら、するべきことは『生産性の向上』でしょう。それが資本主義です。イギリスの産業革命もそのようにして起こりました。資本を投じて技術開発して、労働者を教育して、生産性を上げて、それでしのぐんです。当然政府は、生産性向上のために、例えば自分はインフラを整備し、あるいは企業の生産性向上の努力に対して助成金、補助金をつける。それで投資が生まれてデフレ脱却することができ、実際に生産性が上がります。ところが、政府は、緊縮財政だからそれはやらない。ということで、『規制緩和』して、さまざまな業種で外国人が働けるようにしましょう、というわけです。「移民政策です、自由貿易です、人の国境を越えた移動の自由化です」ということですが、これは外資というより、単に日本人の問題です。日本の経済界が低賃金で働く労働力を求めているだけの話です。人は給料を高くすれば来るわけですから。さらには生産性向上の投資をするべきなんですが、経営者は、そのリスクを負いたくない。人を安く使い続けたい。今日本はようやくデフレからインフレに変わりつつあるんですが、デフレというのは労働者が買いたたかれる時代です。これまでどおり買いたたきたい、ということで、『移民』なんです。

 

 最後に『ふるさと納税』です。意外かもしれませんが、これも同じです。政府の『緊縮財政』と人口流出によって、特に地方の自治体の税収が不足しています。では地方交付税を増やせばいいではないか。それは『緊縮財政』だから絶対に増やさない。それどころか、むしろ減らしているのです。第2次安倍政権が始まって以降、地方交付税も減らされました。そこで、各自治体は規制緩和して、ふるさと納税というのを導入してやるから、勝手に税収を稼げばいいと。『自由競争』だから、みんな競争してくださいというのが、ふるさと納税の本質なのです。これは、誰かが儲かるという話よりも目立つのは、単なる『緊縮財政』です。政府の緊縮財政のツケを、各地方自治体の競争に押しつけているというのが、ふるさと納税なのです。

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