私たちは“仮想現実の世界”に生きている!

9)現代における仮想の世界⑮:規制緩和の実態⑤

 

 次に、種子法の廃止です。種子法とは、日本国内で、多種多様で優良な種子を、安く農家に提供するという制度を担保するための法律でした。ところが、規制改革会議は“種”とは言わずに、生産資材全体の価格が高止まりしていることが問題だと言うのです。配合飼料とか農薬はそう言えるかもしれませんが、種は安く提供しようとするのですから、違います。にも拘らず、規制改革会議の提言の際にそこに一緒くたに入れられてしまったのです。政府が、「緊縮財政で、もう国民の生命の源である種の維持に、お金を使いたくない」というわけです。そこで、種子法廃止、外資規制なしの規制緩和、自由貿易が推進されました。

 

 しかし、これは支離滅裂です。農家にとって、ひいては我々国民にとってみれば、多種多様な種が安い価格で、優秀な製品として農家に売られていることは良いことのはずです。ところが、それを問題だということにしなくてはいけなかったから、つまり、『結論ありき』で“種”を他の肥料や農薬と一緒にして、生産資材価格が高止まりしているという、全く不合理な理屈をつけられてしまったのです。しかし、本当は、安いことが問題なのです。つまり、種子法があるために、優秀な“種子”が安い価格で農家に売られているから、モンサント社などの高い価格の遺伝子組み換えの種子が日本で売れないからです。これは単に米国のモンサント社、今は買収したドイツのバイエル社などのアグロバイオ企業が日本の種子市場で利益を上げたいという、ただそれだけの目的のために、日本の規制改革推進会議が動いて、種子法が廃止されてしまったというわけです。

 

 次に、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度です。2011年3月11日の東北大震災 以降、菅内閣が不法に全国の原子力発電を止めたために、電力会社は安定電源が不足する状況に陥りました。では政府が電力サービス安定化のために財政支出するかと言えば、「緊縮だからしません。」となる。ではどうするのかと言えば、やはり、『規制緩和』『自由化』だということで、再生可能エネルギー固定価格買い取り制度、FITを導入し、太陽光や風力の電気を高値で電力会社が買い取って、そのつけを我々消費者に回すという制度を作ったのです。そもそも太陽光や風力で原発の代替ができるはずがありません。それらは安定電源ではないのですから。でも、そのような議論はすっ飛ばして、進めたわけです。その目的は、単に、FIT でぼろ儲けしたい投資家がいたからです。例えば、孫正義氏やゴールドマンサックスなどの外資系の企業まで参入してきました。

 

 次に、最近はやりのシェアリングビジネスです。デフレ不況で国民の観光旅行が減っています。観光業が苦しい。そこで、例えば、政府がトラベルポイントを国民に配る、1 人10 万円、国内限定で1 年以内に使いなさいと。そうすれば、国民は皆観光に行くでしょう。観光業は助かるわけです。しかし、『財政破綻する』から、『緊縮財政』だから、そんなことにお金を使えないということになります。そこで、「観光業はこれからは日本国民ではなくて、外国人観光客によるインバウンドに依存しなさい。その外国人観光客向けに民泊、白タク、カーシェア等を解禁しましょう」ということで進められているのです。この真の目的は、民泊やカーシェアのプラットフォームを提供しているAirbnb とかUber などが日本市場で儲けたいということなのです。

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「6.補論①失敗しない経営:リスクマネジメント㉙ (10)“身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ”③」です。現パナソニック株式会社の創業者である松下幸之助は、自身の経験から、従業員たちを路頭に迷わせるということだけは決してしてはならないと強く決意し、その責任感から、『失敗しない経営』を常に意識してきました。そのためには場合によっては『身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ』という考え方も大切であると言います。この考え方について、解説します。