私たちは“仮想現実の世界”に生きている!

9)現代における仮想の世界⑫:規制緩和の実態②

 

 まず高額医薬品についてですが、財務省は保険の対象外にすることを提案しています。高額な医薬品は、“費用対効果”を勘案して、公的保険の対象から外すべきだと言うのです。すると、政治家は、“規制緩和”をして「民間の保険サービスへの新規参入を拡大すること」を主張し、「高額医薬品は民間の保険サービスが対象としてくれればよい」と言うのです。そうなれば、間違いなくアメリカの医療保険会社が新規参入してくるでしょう。彼らは、保険料はできるだけ徴収するが、保険金はできるだけ払わないということで、悪名高いと言われています。この点、混合診療も同じです。

 

 ちなみに、橋本政権の金融ビッグバンの前は、保険サービスへの民間参入はできませんでしたが、医療保険を“がん”について解禁しました。その結果、アメリカの保険会社、アフラックが日本市場を席巻することになりました。アフラックはアメリカの会社ですが、アフラックの利益の9 割は日本市場から得られていると言います。さらに、郵政民営化された後、かんぽ生命ががん保険に参入しようとした際、アフラックは、アメリカの政治家経由で日本の政治家(麻生財務大臣)に圧力をかけ、かんぽ生命について、がん保険サービスへの参入を断念することとなったのです。規制緩和により本来“自由競争”となるはずであるにも拘らずです。かんぽ生命は、信用力が高いので、かんぽが本気でがん保険の市場に参入したら、アフラックの市場は相当食われることとなるが、それは許せないというわけです。それどころか、かんぽ生命がアフラックの“下請け”となって、代理店としてアフラックの保険を売るという“奇妙な”結果になりました。結局、アフラックが儲かるわけです。“自由競争”と言いながら、実際は特定企業、特定投資家の利益最大化のために、そういう“大義名分”が唱えられているだけだということがこれでわかります。私たちは、このような一見誰も反対することのできない“大義名分”を掲げて“改革”が行われるような場合には、注意しなければなりません。そのような“目くらまし”に誤魔化されず、その実態、つまり、それによって、お金の流れがどうなるのか、結局誰が得をすることとなるのか、ということを注意深く見る必要があります。騙されないために。

 

 我々の普通の生活を維持するための必須のサービス、ソフトウエア的なインフラストラクチャー、ここが一番今狙われていると言います。その理由は、日本はデフレなので、基本的に需要不足で、ビジネスの拡大はしにくいわけですが、このソフトウエア的なインフラの部分というのは、デフレであっても、人間が生活をしている限り、常に一定の需要があり、需要が減らないところだからです。例えば、農業や医療です。いずれも需要が減りにくいので、構造改革、規制緩和、自由貿易の標的になっています。そこでは、“緊縮財政”だから、政府はお金を使えない、それなら“規制緩和”により参入障壁を取り外して、“外資”を含めた民間の新規参入を認めることで対応しようという“理屈”になっているのです。

 

 その典型が、農協です。まずは、『組合員が農家である正組合員以上に準組合員が多いというのは、おかしい』と言い掛かりをつけて、『この準組合員には、例えば共済とか農林中金を使えないようにすべきだ』と。これはもともとアメリカが言い出したことで、農協は政府から言われて、しぶしぶ準組合員を減らしました。すると、今まで準組合員が入っていた保険市場(JA 共済)に巨大な空白ができる、そこで、アメリカの保険会社がその保険サービスを売り込み、ビジネスを拡大していくというわけです。

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「6.補論①失敗しない経営:リスクマネジメント㉖(9)企業は社会の公器」です。現パナソニック株式会社の創業者である松下幸之助は、自身の経験から、従業員たちを路頭に迷わせるということだけは決してしてはならないと強く決意し、その責任感から、『失敗しない経営』を常に意識してきました。そのためには『企業は社会の公器』という考え方が大切であると言います。この考え方について解説します。