私たちは“仮想現実の世界”に生きている!

9)現代における仮想の世界⑪:規制緩和の実態①

 

 『緊縮財政』『規制緩和』『自由貿易』の3つは、政策パッケージで、常に同時に推進されるものだとして、三橋貴明氏はこれらを『グローバリズムのトリニティー』と呼んでいます。その理屈は以下の通りです。

 

 まず、『国の借金で財政破綻する』と、財務官僚が言うと、『もはや政府はお金を使えない。』『緊縮財政だ』ということになり、『もはや公共サービスも維持できない』ということになります。そこで、「民間活力導入だ」「公共サービスは民営化するか、規制緩和して民間に任せましょう」と政治家が『構造改革』し、『規制緩和』すべきだと主張する。すると、そこに外国のグローバル企業がやってきて、『外資にも市場を開放すべきだ』『自由貿易でWin-Win となる!」と主張するのです。このように、『緊縮財政』『規制緩和』『自由貿易』が、三位一体で行われるというのが、グローバリズムの本質だと言います。

 

 では、グローバリズムは『経済成長』や『Win-Winの結果』をもたらすのでしょうか?

 

 現在需要不足で供給過剰のデフレ下にある日本においては、“需要を増やすこと”が必要なのですが、このグローバリズムによって決してパイ(需要)が大きくなるわけではなく、むしろ逆に縮小すること、その一方で『規制緩和』と『自由貿易』により供給サイドが増えて“小さくなったパイ”を取り合う“苛烈な競争”となります。そうすると、新規参入してくる、“強者”、つまり日本の大手企業か外資系のグローバル企業が結局儲かって、“弱者”(それまで規制により保護されてきた)は“淘汰”され、あるいは、格差が広がり“固定化”されるという結果を招きます。その最も重要な問題は、国民が幸せにはならない、むしろ“貧困化”していくということです。

 

 ハジュン・チャンは、新自由主義にもとづくグローバル化が決して経済成長をもたらさなかったことをデータで検証しています。(『グローバリズムが世界を滅ぼす』エマニュエル・トッド、ハジュン・チャン、中野剛志、藤井聡他)

 

 過去の歴史を学び、実際のデータを見れば、驚くべき現実が見えてきます。私たち日本国民は、表面的に語られる“大義名分”によりその本質が隠され、見えなくされて、それをいつの間にか受け入れてしまっている、つまり、“洗脳”されているのです。その意味で、本稿のテーマである、現代における“壮大な虚構”に基づく“仮想現実の世界”の中に私たち日本国民は追い込まれ、閉じ込められ、その結果、深刻化するデフレ不況から抜け出す手立てを奪われた状態で、何の“疑い”もなく、過ごしているわけです。具体的に何が起こっているのか、つまり、日本の市場が如何に外資のグローバル企業に搾取される結果となっているか、あるいは、近い将来そうなるということについて、以下三橋氏の解説により、分野毎に見て行きましょう。

 

 まずその前に基本的に理解しておくべきことは、すべての分野において使われている重要な“理屈(レトリック)”は、『国の借金は1000兆円!このままでは財政破綻する!』『だから緊縮財政を守って、財政支出を削減しなければならない』という“緊縮財政”からの財政支出の抑制の必要性ということです。そして、それが全くの誤りであることは既に述べた通りです。

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