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9)現代における仮想の世界⑨:コーポレートガバナンスの強化④

 

 実は、この『コーポレートガバナンスの強化』の前に、アメリカの圧力を受けて、2006 年 5 月に施行された会社法において、グローバル資本が従来より容易に日本企業を買収することができる仕組み、いわゆる“三角合併”が解禁されました。この方式は、簡単に言うとA社がその子会社のa社を通じてB社を吸収合併しようとする時、従来はa社の株式による対価の支払いしか認めていなかったものを、親会社A社の株式を交付することで対価の支払いに充てることを認めるものです。a社がB社を吸収合併し、その支払をa社の親会社であるA社がA社株式で行う構図になっていることから三角合併と呼ばれています。

 

 従来外国の企業は日本の法律上の会社とみなされていなかったため直接日本企業を買収することができず、日本企業を買収する際は日本に現地子会社を設立し、その会社を通じて日本企業の子会社化や吸収合併をするという手順を踏んできました。ところが日本に設立したばかりの子会社は与信も資金力もなく、買収資金を現金で用意するのが困難でした。

しかしながら、この三角合併の方式によれば、例えばグローバル企業は、現地子会社を通じて三角合併の手法を活用すれば、現金流出を伴うことなく自社の株式を交付して国境を越えたM&Aを実施できるようになったのです。つまり、この際a社は必ずしも自己保有の自社株(いわゆる金庫株)をB社株主への支払いに充てる必要はなく、新株を発行してB社の株主に交付することも可能なため、通常多額の現金が必要になるM&Aを実施するにあたりキャッシュを一切用意する必要が無いことから、大変魅力的な手段と言えるのです。

 

 三角合併そのものは、外国企業のみを前提とする手法ではなく、日本企業同士で実施することもできますが、この法改正が、元々吸収合併に際しての対価の支払いに自社の株式ではなく親会社である外国企業の株式を充てることを認める法改正を求める外国企業の要望の高まりに応じる形で行われたという経緯があります。

 

 また、三角合併を実施するには双方の会社の取締役会の決議と株主総会の特別決議の両方を経る必要があることから、通常は敵対的買収の手段にはなり得ず、基本的に友好的なM&Aの手段と言われています。しかしながら、例えば、外国資本が魅力的なプランを資本市場に提示して、経営陣に検討するよう圧力をかけ、買収提案者が多数の株主から支持を得た場合、株主総会で委任状争奪戦を仕掛け、B社の株式2/3以上を買い占めてから敵対的買収に乗り出す可能性もないとは言えません。先に述べた『コーポレートガバナンスの強化』は株主の権利を強化することによって、それを促進するという側面があるのではないでしょうか。

 

 このように考えれば、この会社法による“三角合併”の導入によって、欧米のグローバル企業が日本企業を合併し易くなったわけです。

 

 これまでは、外国資本による三角合併の実例は少なかったわけですが、先に述べた日本政府による『グローバル化』『構造改革』『規制緩和』『自由化』『民営化』などによって、日本の市場の規制が次々と取り払われ、あるいは、緩和されて、日本市場が解放されて行くと、グローバル資本による三角合併を利用した日本市場への参入ということがより現実的になってくるのではないかと危惧しています。

 

 このままでは、日本も韓国の二の舞いとなってしまいかねません。韓国では政府の政策もあって、ごく一部の財閥企業グループだけが事業に成功していますが、その財閥企業はと言えば、その株式の多くを外国投資家によって保有されており、サムスンの場合で言えば既に外国投資家が過半数(普通株式:50%/優先株式:75%)を保有しているのです。つまり、韓国企業とは名ばかりでその実態は、欧米のグローバル投資家の所有する企業と化しており、それらの企業が如何に利益を上げても韓国国民に還元されること(賃上げなど)はなく、そのほとんどを株主たる外国資本に利益還元(利益配当や自社株買い)として持って行かれてしまうのです。韓国の国民は益々貧困化して行くばかりです。

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