私たちは“仮想現実の世界”に生きている!

9)現代における仮想の世界①

 

 『私たちは“仮想現実の世界”に生きている!』と題した本稿では、そのような“仮想現実”が現れる要因として、人間の認知機能上の特徴やプロパガンダ、さらには歴史上勝者の創り上げた虚構の世界について述べてきました。そこでは、“現代”については語っていなかったのですが、改めて現代の日本の政治経済の状況を調べてみますと、現代においてすら、私たちは、本当の現実世界に生きているのだろうか、誰かの“操作”“洗脳”によって、実は“仮想現実の世界”を“現実世界”だと信じ込まされているのではないかとの疑問がふつふつと湧いてまいりました。

 

 そこで、以下では、現代の世界に蔓延している“仮想現実の世界”の一部について捕捉として述べてみたいと思います。

 

 まずは、『国の借金1000兆円超!国民一人当たり800万円超の借金!』『このままでは財政破綻する!』『だから、緊縮財政が必要だ。財政支出は削減すべきだ』『プライマリー・バランスの黒字化目標が必要だ』『だから、消費税増税が必要だ』という一連の“大ウソ”が、今の日本では、経済学者や新聞・テレビなどのマスコミを席巻しており、大多数の日本国民がすっかり騙されて、その“ストーリー”に沿って踊らされているということです。しかも、見逃せないのは、この“虚構の物語”にもとづいて、現在もなお、日本政府によって、実際に“緊縮財政”が行われ、『デフレからの脱却(経済成長)』を目標に掲げた安倍晋三内閣の目玉であった三本の矢の二本目の矢『積極的な財政政策』はほとんど放たれることのないままに、インフラの更新や各地の新幹線の整備、教育充実、科学技術の振興、医療・介護サービスの拡充、地方経済再生、防衛力の拡充などへの財政支出は『プライマリー・バランスの黒字化目標』の名の下に次々と削減され、日本は依然として世界の先進国中唯一デフレ不況から脱却できず、むしろ深刻化して、『失われた20年』が『失われた30年』にもなろうとしています。この20年で、先進国でも、アメリカは2.3倍、カナダは2.4倍、イギリスは1.9倍の経済成長をする中、日本は最下位で1倍、GDPが全く増えていないのです。

 

 このような経済成長しない国、貧困化に突き進む日本のデフレ不況の原因を企業の努力不足に求めて(いわゆる伊藤レポート)、コーポレートガバナンスを強化すべきだとの改革が進められていますが、そもそもその前提に誤りがあり、その原因は以下に述べる通り明らかに政府の経済政策、特に財政政策の誤りにあったと言わざるを得ません。

 

 『国の借金1000兆円超!国民一人当たり800万円超の借金!』については、以下のような日本国民をミスリードする極めて悪質かつ狡猾な“情報操作”が行われています。そして、その結果、9割以上の国民がまんまと騙されてしまっているのです。

 

 第一に、『国の借金』と言われ、『国民一人当たり800万円超の借金!』と言われると、如何にも私たち国民が借金をしているように“混同”“誤解”してしまい、『これ以上増やしてはならない』『少しでも減らしていくべきだ』と考えてしまいます。この“虚偽の物語”を作った者は、そのような国民の“混同”“誤解”を意図して狙っているのです。しかし、これはあくまで『日本政府の借金』であって、国民は全く関係ありません。経済主体としては、政府と家計の他にも、金融機関や企業、NPO、そして海外があります。また、国として見れば、海外からの借金総額664兆円(2018年年末)ある一方、外国に対して貸し付けているお金の総額は1006兆円あり、差し引きすれば、342兆円という世界最大の純資産を保有する国、むしろ世界一の金持ち国なのです。

 

 第二に、“負債”のみに焦点を当てて騒いでいますが、貸借対照表の『資産』を併せて考慮すべきです。国は家計よりも企業に近いと言えます。企業の場合も多くの負債を抱えているのが、通常で、それによって研究開発投資や設備投資を行い、その結果、知的財産権や生産設備などの資産が企業には残りますし、投資以上の利益を上げていれば、何ら問題はありません。

 

 第三に、日本銀行の金融緩和政策によって、日本銀行が国債を買い取っているため、“政府の負債”の約46%を日本銀行が保有しています(2018年末)が、日本銀行は日本政府がその株式の55%を保有する日本政府の子会社です。(日本銀行法第8条)それ故、日本政府と日本銀行とを『統合政府』として連結で見る国際的な常識から見れば、日本政府は子会社である日本銀行の保有する国債については、返済の必要もないし、利子すら払う必要はありません。連結決算のルールによって相殺されてしまうからです。

 

 第四に、日本政府は、日本円建ての国債しか発行しておらず、自国通貨を持つ日本政府が財政破綻することはありません。実際、日本国債の格付けを下げようとした格付け会社に対して、財務省は、この点を強く反論しているのです。財政破綻したギリシャやアルゼンチンは、それぞれ自国通貨ではない、ユーロ建て、ドル建てでした。

 

以上のことから言えるのは、『国の借金1000兆円』という問題は実質的に存在していないということです。そして、日本は世界一のお金持ちであり、『このままでは財政破綻する!』というのは全くのウソだということです。

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